それは 一枚の紙から始まった-2
★
帰り道、母さんの運転する車の中で一言も何も言えなかった。
先生は、母さんの気迫と僕の日ごろの生活態度を「考慮して」、この一件は先生と母さんと僕とで内密にすませる事にしてくれた。
学校はそれですんだ。だけど、
(私はね、自分のプライドを守る事でここまで這い上がって生きて来たの。
私のプライドを損なったから、父さんも捨てたのよ。
敬一、あなただって私のプライドを損うようなマネをしたら容赦なく捨てるからね。覚えときなさい!)
叱りはしないけど、いつも僕にそんな警告をしてる母さん。そんな母さんに土下座をさせてしまった僕は、もう一緒にいられないかも知れない。
いや、もしかしたら母さんは、このまま車を海に向けて走らせて、すべてを終わらせるかも知れない。
僕にはそれを止める資格なんかない。
僕は最後の日を覚悟した。
……だけど、母さんと僕は普通に家に着いた。
夕暮れになって すっかり暗くなった家の中に入っても、灯りをつける気にもなれない。
黙って立っていた僕の両肩に、後ろからふわりと何かが乗っかった。
母さんの手だった。
僕は、もうこの手に優しくされる事がないんだと思うと、目が塩辛くなってきた。
母さんの声がした。
「敬一…… あの綴方は、ウソを書いたの?」
僕がうなずこうとした時、母さんは両手に力を入れた。
「母さんの事が大好きで、母さんのはだかを考えながらオナニーしてる、って書いてたのは ウソなの?」
僕は首を振った。
「あれは……本当。」
僕がそう言うと、母さんの手は僕の脇の下に回されて、僕の身体はスッと宙に浮かんだ。
暗い家の中、僕は一瞬で母さんの寝室に連れて行かれて、ベッドの上にフワリと降ろされた。
(あっ……)
振り向いて僕が見たのは、はだかの母さんだった。
母さんは僕をあお向けに押し倒すと、僕の顔の真上におっぱいを近づけてきた。
「どう? 敬一がオナニーする時に思い浮かべてた母さんのはだかと、本物の母さんのはだか。どっちがいい?」
「え…… もちろん、本物の母さん。」
母さんは僕の顔におっぱいを押し当ててきた。
「母さんは、あの綴方を聞いて嬉しかったよ……もし母さんがそんなに好きなんだったら」
母さんは僕の横にゴロリと寝そべった。
「敬一の知ってるやり方で、母さんを気持ち良くしてよ。」