バスの中なのに-2
いよいよ愛撫タイム。
はだけるのは最低限。
半分だけ覗くブラジャーの中に彼の片手が入り、左のふくらみを包みこむ。
そのまま、手は静止。
だから、“やはり、こんな場所ではディーブなことは無理よね”なんて思わせた。
しかし、彼は予想を裏切るのがうまい。
逆の空いた手がスカートをまくりあげた。
(あっ)
白のショーツの前面がさらされたはず。
そこへ、彼の上体がかぶさってきて、私の両手は使えなくなる。
ブラジャーの中の手は乳首をとらえた。
(ひどい、ずるい)
一瞬、そう思った。
乱れた羞恥の姿。
愛撫が、徐々にエスカレートしていく。
◆
愛撫を容易にするためにか、彼は上体を起こした。
両手の拘束が解かれたので、ショーツだけは隠したが、もう陥落したカラダはリセットできない。
(ふー、ふー)
思い切り声をあげて、彼を喜ばせたいのに、ここではできない。
ちょっとした拷問。
もしかすると、我慢する私は彼を楽しませているのか。
(いやだ。……うっ、あ、あ、あー)
今度はお尻をショーツ越しに触ってくる。
(お願い、じかに)
いっそ、下半身を……いや、全裸がいい。
(うっ、うっ、あぁ、あーん)
拷問が続く。
初体験の時から、セックスは激しい“痛めつけ”だった。
全裸でベッドに縛られ、
テニスウエアで逆さ吊りされ、
乳首を針で貫かれた、私。
……………
そんな今までに受けてきた数知れぬ被虐行為よりも、
もっと残酷で甘い拷問だった。
◆