投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ZIPPO━T━
【その他 恋愛小説】

ZIPPO━T━の最初へ ZIPPO━T━ 0 ZIPPO━T━ 2 ZIPPO━T━の最後へ

ZIPPO━T━-1

『ねぇ、何これー?』

夜の風があたし達の間を走り抜ける。
結構好きかも。

『ん?ああ、ジッポやん。見りゃ分かるやろ、ボケ』

月の光に照らされてあなたが笑う。

『かっこいいね、これ』

その月の光にジッポをかざしてみた。
真っ黒のジッポが月の光に照らされてくっきりとその姿を現した。

『それな、どこにも売ってへんねん』
隣のあなたが携帯をいじりながら呟く。
『マジで?なんで?』
よく見ると、ジッポには小さい白い文字が刻まれていた。
『ツレのバーのジッポやねん』



『……いいなぁ。欲しいなぁ』



『やらへんで』
月の光がいつの間にか携帯の光に変わっていた。
少し切なくていつまでもそのジッポを離す事が出来なかった。




あの日から何日か経った。


あたしは煙草に100円ライターで火をつける。
隣にはあなた。
結局、毎日会ってる。

何にもないのに。



『あっついわー』
昼間は苦手。
あなたの顔がハッキリ見えてしまうから。
あなたが何を見つめているのか見えてしまうから。

『やるよ』

あなたの手には黒いジッポ。
真っ黒のジッポ。


『え?なんで?』

『…お前欲しいゆうてたやんけ。車にもう1個あったからな。やる』

『いいんスか!?ありがとう』

あなたの笑顔は昼間に見るものじゃない。




あなたからの初めてのプレゼント。

真っ黒のジッポ1つ。


ZIPPO━T━の最初へ ZIPPO━T━ 0 ZIPPO━T━ 2 ZIPPO━T━の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前