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名前も知らない人
【女性向け 官能小説】

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感謝の裸身-3

何度でも言う。優しい人だった。

私を全裸にしたあと、ずっと髪を撫でてくれる。
新鮮だった。
全身、手や舌で開発され尽くしたと思っていたが、まだ愛撫されてないところがあったのだ。

でも、唇は奪わなかった。それは、どちらの貞操のためなのか。

「ああ、ああ、ああ」

ため息のような声が出る。

彼は下着一枚残していた。
やりたいわけじゃない、いつでもやめていいというメッセージかもしれないが、
すでに私を全裸にして、たくみな愛撫を加えていることとは矛盾している。

「ううっ、ふっ、ああん」

乳房を覆ってきた。

「ああん、あ、あ」

ついに、彼の手が下腹部へきた。
滑らかな愛撫。

背徳感を完全に失わせるほどの。

「あなたも、脱いで、入れてください


はしたないリクエストだった。
押し入ってくる。

彼のものしか知らない私の中に。

比べてはいけないと思うが、
今の彼の方が大きいように思えた。

体位は背面騎上位。
言うまでもなく、仰向けに寝た彼にお尻を向けて座りこむ、恥ずかしい体位だ。
顔が見えないのは、幸か不幸か。
顔を見られないから、遠慮なく、大胆になれるということでもあった。

それにしても、エッチ。

自分からお尻を上下させるなんて、あさましい動物のようだった。

「ああっああっ、ぐふっ、ぐふっ、あん、ああっ」

「初めてなんだね、詩織さんは」
「はい。ああ、ああ」

処女という意味ではなく、初めての体位ということだった。

「ああ、ああ、うん、あ、あ、あ、あーん」

彼が、私の腰を持ち上げた。
引き抜かれた一瞬後、放出した。


彼は連絡先を教えなかった。
それでよかった。
長いハグをして、今度こそ、彼は去った。

私は、その夜、久しぶりに自分の指で自分を慰めた。

もちろん、全裸になって。
──────────
(終わり)


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