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名前も知らない人
【女性向け 官能小説】

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感謝の裸身-2

丁寧に、私を脱がしていく。

優しい人だった。

大きなゴミ袋を二つも持ってきた私を見て、何か手伝うことありませんか?
と訊いてくれたのだ。

部屋に招いた二人目の男性となった彼は、窓の応急措置をしてくれた。
万一のために持ってきていたガムテープで。
細かいガラス片もガムテープで集め取り、
とりあえず寝室は使えるようになった。

部屋を一瞥し、「とりあえず大丈夫ですね。どうぞお気をつけて」と言ってドアを出ようとする彼に、
「待って」と叫び、私は急いで上を脱いだ。
昨夜から下着はつけてなかった。

据え膳食わぬは……なんて人じゃなかった。私が見込んだとおりだった。

急いで靴を履き、ドアを飛び出す彼を、裸足で半裸の私が追う。
靴をうまく履けてなくてスピードが出ず、マンションの玄関を出る前に、“痴女”に捕まってしまった。

お互いに恋人がいる。
その背徳感の重さはよくわかった。

それでも、私にできる感謝の表し方は、それしかなかった。



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