A:5-1
「ひぎゃああああああああああッ!」
拷問部屋に、少女の叫びが鳴り響く。
「あ、れえ? 千切れるぅー? 千切れちゃうぅー?」
後ろ手に縄で縛られて台に寝かされ、脚はM字開脚で戒められ、あられもない恰好で秘部を晒して縛りつけられている亜里沙。裸体から張り出す双球の頂点には、黄金色のリングがピンク色の頂点を貫いて光っている。その両方のリングには現在、男の指が絡みついていて、身体が浮き上がるほどの力で天上へと引き上げられていた。
「いいいッ! ち、ちぎれぇッ、るッ! は、離し……ッ!!」
「ひゅ〜っ、血が出てきたぁ」
ついに皮膚が裂け、鮮血が一筋、流れ出す。しかし、力を緩める気配を男には感じられない。
「ああああッ! む、無理ッ、無理ッ、いやあああッ! はなじでぇッ」
溢れる血の量は増え続け、乳房全体が紅く染め上げられて、やがて……。
ブチッ。
「ッ! あ、あ、あああああああああああッ!」
「ふは! 千切れたあああっ! イェイっ!」
まず右の乳首から、小さな音を立てて血染めのピアスが引きちぎられた。紅い鮮血が、ドクドクと湧水の様に傷口から溢れている。
「左もブチッっと」
「あああああああああああッ!」
左右の双球から頂点がむしり取られ、激痛と絶望が亜里沙を支配する。
「なあ、乳首なくなってどんな気持ちだ? 痛い? それとも、亜里沙は変態のマゾだから気持ちいいか?」
Aが亜里沙を見下ろしながら不敵な笑みを浮かべている。その手には、引きちぎられたピアスが鮮血で濡れて紅く光っていた。
「ああ、いやっ、いやあッ!」
「おいおい、どっちだって聞いてんだよッ! ああ!? いてーのか気持ちいーのか、さっさと答えろや!」
髪を鷲掴みにして揺さぶられる、振動が紅い傷口を広げ、締め付ける縄が皮膚を削っていく。
「ああうッ! い、痛いですッ! 痛い、痛い、ッ!? いだいいいいッ!」
頂点に湧く鮮血の泉に、指が無造作に突き入れられた。そのままねじ込むように沈んでいく。ピッと血が飛び、着地点のAの頬に染みを作る。
「はあ? よく聞こえない。なあ、気持ちいいよな? マゾのメス犬だろ、お前は。嬲られて気持ちいいよな?」
最初から答えなど決まっていたのだ。Aの望む答えを選べなかった。だから私はお仕置きをされている……。もう亜里沙には正常な判断力など無くなってしまっていた。
「はいっ! 気持ちいいです!」
「じゃあさっきなんで“痛いです”って言ったの? 主人を馬鹿にしてるのか?」
「そ、それはぁ…」
言葉に詰まる亜里沙。クリトリスのピアスに、指が掛けられじんわりと力が込められた。
「ひぃっ、ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ! う、うそっ、うそついたらぁ、お、お仕置きしてもらえると思って、う、うそつきましたあっ! ごめんなさいいっ!」
ブチッ!!
「いぎゃああああああああああああああああああッ!!」
豆を着飾るリングは無情にも引きちぎられてしまった。装飾を失った悲しみか、鮮血が後を追う様に次々と身体から飛び出ていく。
「嘘つきにはお仕置きだよなあ。望みが叶ってよかったな、感謝しろよ」
「いやっ、いやあっ、あああああ! わああああああああッ!」
「チッ、物わかりの悪い犬だなあッ!」
低い舌打ちのあと、Aは拳を亜里沙の腹部めがけて振り下ろした。低いうめき声が、彼女の上げていた悲鳴に代わってAの鼓膜に響く。
「おらおらあっ! こーいう時はなんて言うんだ! ああっ!?」
続けて二発目、三発目と拳をめり込ませる。
「あ、ありがとうッ、ありがとうございますッ!」
「そーだろーが! まず感謝だろ! いちいち叫んでんじゃねえよ!」
「はいっ、はいいッ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」
亜里沙は口から少量の胃液と一緒に、辛うじて言葉をひねり出した。そうして、ようやく連打は止まり、亜里沙はひとまず暴力からは解放された。腹部はあざで青黒く変色していた。
「反省したところで、そろそろ本番といこうかな」
Aがズボンのチャックを外し、イチモツを取り出した。特に感じるものがなかったのか、それは本来の力を取り戻していないままでいる。
「ほら」
彼は亜里沙の口元まで移動すると、ごく短い一言で強要する。
「はい」
一方の亜里沙もごく短い一言で了承させられ、口を大きく広げて目をつぶる。瞼に収まりきらなかった涙が、一筋の道を作って落ちていった。
口内に肉棒が差し込まれる。何回経験しても、この嫌悪感には慣れなかった。舐めれば舐めるほど、固くなっていく。それが、気持ち悪い。吸えばねばねばとした粘液が染み出してくる。それも、気持ち悪い。ただ、全てが気持ち悪かった。
心を許した男性のモノならそんな気持ちなど生まれなかったのだろうか?
「おーし出すぞ」
「うぐぐっ……おえっ」
喉を突くように自分勝手に乱暴に動かしたあと、彼は達した。口はねばねばとした気持ち悪い感触。だが、亜里沙はその感触を味わう間さえ与えられることは無い。