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ママのふうせんうた
【家族 その他小説】

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朝の図書室で-1

 私は「沙な」、高校二年生。
 1月で、大好きなママが死んで3年がたった。
 いわゆる「女手ひとつで」私を育ててくれてたママ。
 

 朝の図書室、私は本を読まずに、ひたすらペンを動かしていた。
 小さな手帳大のノートに、三色ボールペンで自分の気持ちを綴ることが、ママが死んでからの私の毎日の「惰性的」な日課になった。
 
 ママの死はウソみたいに急だった。
 私は中学二年生。1月下旬の日曜の夜ママは、
 「やだな。誰かに風邪をうつされたわ。」
 なんて言って、咳をゲホゲホし始めた。
 私が急いで まだ開いてた薬局に行って、キツめの咳止めシロップを買った。
 たいていの体調の悪さは薬局の薬で回復するママなのに、それを飲んでもおさまらないから、
 「あした、本格的な病院に行ってくるわ。」
 なんて言ってた木曜の夜、テレビの前で静かになっていた。

 私は、中二にもなっていながら気づかなかった。
 人が死んだら、本当に全然連絡が取れなくなるんだ。
 私は、大好きなママだからきっと、たましいが夢の中にあらわれて私に話しかけてくれるとか、生きてた時の姿でよみがえって、私を抱きしめてくれるとか、そんな事があると本気で信じていた。
 そんなオトギバナシみたいな、「霊的現象」みたいな事は、少なくとも私には起きないんだと判るまで、二年もかかった。

 


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