タクミの家-2
ちづるはタクミの部屋に
入って立ち尽くし
キョロキョロしながら呟く。
「綺麗に、、してるね。」
タクミの部屋は
男1人とは思えないほど
綺麗に整頓されている。
6畳ほど部屋には、
勉強机とイス。
ベッド。
勉強机の横には16インチほどの
テレビが置いてある。
テレビの横には
人の背丈の高さぐらいの
本棚があり、漫画が数冊置いてある。
それ以外は全部CDだった。
ベッドの足元の方の床に
CDプレーヤーが置いてある。
カーテン、ベッド、
床のカーペットを
青や紺色を使っている為、確かに
男の部屋、といった感じがした。
ちづるが言う。
「掃除とか、、
自分でしてるの? 」
「んーー? まぁ ね。
ぁ、座ったら?」
タクミは
もらったおかゆを勉強机に置いて
そこのイスに座り、
ちづるをベッドの上に座るよう
目で合図を送りながらそう言った。
「 、ぁ。 うん、、 では 」
ちづるはコートを脱ぐ。
すぐにタクミが「かして」と言い、
脱いだコートをハンガーで
壁際にかけてくれた。
遠慮気味に
静かにベッドに座った。
ちづるが落ち着かない様子で言う。
「タクミ君の部屋、、は、
うちの家では、あれだね。
使ってない部屋の所、、だねぇ。」
「 ぇ? ぁーー、、。
そうだね。
、、、。
あそこの部屋は何があるの?」
「んー? 何もないよ〜。
季節のもの、、
扇風機、、とか。
あと、ヒーターとか、、かな。」
「そっか。 、、、。」
「、、、、っ、、ぅん。
ぁ!
和室は?使ってないの?」
「んー? うん。
親の、、
タンスとかだけになってる〜。」
「そっ か 、、、、。」
「、 、、、 。」
2人の間に妙な沈黙が流れる。
ちづるが言う。
「 あ 。
ごめん、ちょっと、、
トイレ借りていい? 」
「 ぇ? うん。」
ちづるは立ち上がり、
部屋を出る。
同じ市営住宅の隣同士。
家の中の造りはほとんど同じだ。
玄関を入ってすぐ右が
トイレと風呂場のある部屋だ。
ちづるはトイレを借りた後、
電気のついていない
暗いキッチンを見た。
外灯の灯りが
窓からぼんやりと入り、
静かだった。
冷蔵庫だけが
ヴーーと音をたてている。
キッチンも
自分の家の広さと同じはずなのに
とても広く感じた。
少し眺めると、
その理由はすぐに分かる。
「 、 、 、、、。
ぁ 」
そっか
食器棚が ないんだ
炊飯器も ない
そういえば 鍋も、、
ヤカンとテーブルだけ
って感じ、、、
なんか
なんだか
ぁ、。
キッチンの隣のリビングは、
洋服ラックが2つ置いてあり
かかっている服は
ほとんどが女物だ。
洋服ラックの下にも
女物のバッグが10個ほど置いてある。
それ以外に物はなく、
カーペットも敷いてない。
リビングとして
活用していない事が一目で分かる。
「 、 、、、、。」
洋服 いっぱい、、、
お母さんの だよね
ちづるはタクミの部屋に戻った。
タクミは勉強机のイスに座り
少しぼんやりとしている。
ちづるは再びベッドに腰を
かけようとしながら呟く。
「 ありがと。
本当、綺麗にしてるね。」
「んー? まぁ、
俺しか使わないし。 」
「掃除機とか、自分でやるの?」
「 ん? うん。」
「そっかぁ。 洗濯も?」
本当 綺麗にしてる
だけど
なんか
寂しい感じがする
「まぁ、、うん、前は ね。
今はほら、ちづちゃん家で
一緒にやってもらう事、多いから」
「 ぁ、。 うん。
そうだねぇ。 」
「、 、、、 で? 」
「 ぇ? 」
「、、俺の家、見にきたの?」
「 ぁ! 」
タクミは少し冗談のように
微笑んで、そうちづるに言う。
ちづるは言う。
「 ぇと、、そう、、
ううんっ! 違くて、、
話したくて きたの ! 」
ちゃんと 問い詰める
〜っ タクミ君の
お腹痛いは !
「うん。 なーに??」
「ぁ、 あたしっ!
うそ 〜っ
嘘だと! 思う!! 」
「 え? 、、何が? 」
「タクミ君の、、
お腹 痛いって 〜っ
嘘だと思ったの! 」
「 ! 」
「だから、、っ きたの、、。」
「、、、、。」
「 っ 、、、、、。」
2人は見つめあって沈黙した。