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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴のバレンタインデー-7

「ちょっと待ってよ巴ちゃん!」
「放してぇ!ついて来ないで!」

水野君の待つ校庭へ向かう彼女を制止しようと肩を掴むも思いっきり振り払われ。

「もういいのよ、あんな奴。」
「でも!」
「アンタらみたいにいつまでも仲良しこよし何て無理よ、別れたり破局して離婚する人たちなんていーっぱい居るの!それは私達だって例外じゃないってだけの事。」
「あっ!」

乱暴にそう言い放ち早足で目的地へ向かう。

「フンだっ!あんな奴!あんな奴!」



「やぁ巴ちゃん、随分時間掛かったねぇー。」
「待たせて御免なさい水野君。」

彼はモテる故にかなりのチャラ男、巴ちゃんの追い詰められた顔とはまるで正反対でフワフワし過ぎだ。

「で?どーしたのぉー、これでも忙しいんだけど。」

忙しいと言うのは別の女子と遊ぶ事らしく、こんな人に巴ちゃんが、やけくそも良いとこ



一方風馬君も一条君の居る稽古場へ駆け寄る。

「大変だよ!伊吹さん本気で。」

しかし見渡すも彼の姿はなく。

「一条先輩なら今日用事があるって休みましたけど。」
「……。」


「あの、そのー。」
「んーどうしたのー。」
「それは、そのー。」

いつもの巴ちゃんらしからねモジモジっぷり、恥ずかしいのか、んな訳はない。

「この前貰ったチョコとっても美味しかったよ。」
「そ、そうですか…。」

何だか見てられない、すると遠くから誰かが駆け寄ってくる姿が。

「で何?いい加減にしてくれないと…。」
「すっ。」
「ん?」
「私、水野君の事が好き!」
「っ!」

……時が止まる瞬間というのはこういう事を言うのだろうか、陰で水野君の様子を覗いているファンの女子たちが騒めく。

「っ!」

それを耳にしてしまった一条君と後から追っかけてきた風馬君。

「……。」
「あっあのー今度雪祭りに。」
「くっあっはははははっ♪」
「っ!?」

彼は高らかに笑う。

「付き合う?俺が?君何かと?」
「っ!」
「おいおいおいおい冗談はやめてくれ、なぁーんで知り合ってもない君何かと。」
「それはー。」
「はっ!その通りよ、馬鹿なのアンタ?」

追い打ちをかけるように女子たちが彼の元に集まって。

「…うっわ私は…私は。」
「全くとんだタイムロスだ、じゃーなー、ささいこーぜ皆。」
「はーい💛」

人をボロ雑巾のようにして悪びれる様子もなく去って行く。

「うっうう、ひっく…。」
「巴ちゃん。」

普段強気な彼女がこんなにも弱弱しく両手を地面に着き泣きじゃくり。

私はすぐに駆け寄り強く抱きしめる。

「…うっうう若葉、若葉ぁー。」
「………。」

こんなの、許せない。


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