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タダシイコタエ
【大人 恋愛小説】

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1-2

「誰……って、大体わかるでしょう? ここに入ってこれる女なんて」


美樹は、コートのポケットの中で膨らんでいた物体を取り出した。


ディズニーランドで買ったシェリーメイのキーホルダーがついている鍵。


キーホルダーは恋人の幸太とデートした時に買ったものである。


幸太がダッフィーで、美樹がシェリーメイ。


少し汚れが目立ち始めていたけれど、それも二人の歴史の一つとして、美樹はこの合鍵がついたキーホルダーをとても大切にしていた。


それを見せつけた瞬間の女の顔を見て、勝利を確信したが、女もまた負けず嫌いだった。


ハッと鼻で笑ってから、座ったまま身体を伸ばしてテーブルの下に置いてあるバッグを自分の方に引き寄せた。


誰もが知っているハイブランドのロゴがついたそれは、荷物をゴチャゴチャ入れすぎているのかパンパンに膨らんでいてひどくみっともなく見えた。


「アタシもここに入ってこれる女なんですけど」


ニヤリと笑った女は、バッグの中から出したものを、得意気に美樹に突きつけた。


ダッフィーのキーホルダーがついた鍵。


それは紛れもなく幸太のアパートの鍵であった。


途端に脚の力が抜け、膝から崩れ落ちるようにフローリングに座り込む美樹。


以前から怪しいと思っていたけど。玄関を開けてすぐに気づいたけれど。


でも、現実をこうして突きつけられると血の気が一気に引いていく。


――やっぱり幸太は浮気をしていたんだ。


信じられなくなっていたけど、どこかで信じたかった。


でも、現実はあまりにも非情である。


美樹の脳が、恋人の浮気を認めた所で、彼女の瞳からはボロボロと大粒の涙が次々と太ももの上に落ちるのだった。



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