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タダシイコタエ
【大人 恋愛小説】

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1-15

「ゴメンな、望美。俺がもっと早く自分の大切なものに気づいていればよかったんだ」


「え?」


ビックリして目を見開いた望美に、幸太は何とか微笑んでみせる。


「お前がこんなにも俺を想ってくれていたのなら、ちゃんと美樹と別れてればよかったんだよな。俺がだらしないばかりにずっとお前に辛い思いをさせっぱなしで……本当に悪かった」


「幸太……」


「俺、決めたよ。もう、お前に辛い思いはさせない。これからは、ちゃんと恋人として大切にしていく」


そう言った幸太は、ジッと望美の顔を見つめて、そしてゆっくりと唇を重ねた。


どれほど長いキスだったのか。


ようやく二人の唇が離れると、次の瞬間に、望美はポロポロと涙をこぼしていた。


「もう、何で泣くんだよ」


呆れたように笑う幸太だけど、親指で彼女の涙を拭う仕草はとても優しかった。


「だって、嬉しかったから。本当にずっと好きだったんだから……。ずっと、ずっと、幸太の一番になりたかったんだから……」


笑おうとしてるのに、涙が邪魔をしてうまく笑えていない望美がたまらなく愛おしい。


そんな彼女の頭を優しく撫でてから、再び彼女の身体を抱き締めた。


(これからは望美だけを愛していこう)


腕の中で、ニヤリと歪んだ笑みを浮かべている望美に気付かない幸太は、一人胸の中でそう誓いを立てた。








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