イケナイ課外授業-12
児玉の嬉しそうな顔が、たまらなく滑稽に思える。
あいつは、俺の言葉の本当の意味を知らない。
いや、児玉だけじゃない。みんな知らないんだ。
相馬や飛坂の、そしてこの俺の裏の顔。
やがて体育教官室に辿り着いた芦屋は、すこし錆びついたドアノブをひねる。
すると飛び込んでくる生々しい相馬の鳴き声が急に大きく響いた。
「あんっ、飛坂……すごいっ……気持ちいい……!!」
芦屋の目の前では、後ろ手に拘束された友美が、床に伏す格好で飛坂に犯されていた。
リズミカルにぶつかる肉の音。
ニヤニヤしながら腰を動かす飛坂の下卑た笑みや、快楽に抗えず顔を歪める友美の顔。
そう、みんなは知らないんだ。
「あ、先生。遅かったッスね」
芦屋の登場に気付いた飛坂が友美の細い腰を掴んで動かしながら、顔だけこちらに向く。
「ああ、教頭に話しかけられてしまってな」
「あー、そうだったんだ。オレ達、待ちきれなくて先に始めてましたよ。な、相馬?」
「ああっ……、ああんっ」
飛坂は芦屋に友美の顔を見せるべく、彼女の肩を掴んでそっと起こした。
起こされた上半身には、首や乳房を囲むように美しく走る赤い麻縄。
乱れた髪と紅潮した頬に、思わず芦屋の喉が鳴る。
そんな芦屋と目が合った友美は、嬉しそうに瞳をほんの少し弓なりに曲げた。
「相馬、待ちきれなかったか?」
芦屋が二人の側に行き、彼女の頭を優しく撫でると、友美は小刻みに何度も首を縦に振った。
「早く、早く先生も来て……ああっ……あん」
飛坂に突かれながらも求めてくる姿。
たまらなく淫らで愛おしい。
芦屋は来ていたジャージを脱ぎ捨て、友美と飛坂を交互に見つめた。
「よしよし、今日もたっぷり可愛がってやるからな」
「こないだのハメ撮りは、相馬も気に入ったみたいですしねー。今度はオレのスマホで撮ってくださいよ」
「うん、それもいいな。どうだ、相馬」
芦屋が友美の顔までしゃがみ込んで、そっとキスをすると、友美は堰を切ったように、
「あんっ……お願い……。もっと、もっとすごいことしてぇ……」
と、言ってから芦屋の唇を貪り始めた。
「へへ、妬けるっすね」
キスをしながら飛坂と目が合う。
それは言葉にしなくとも伝わるアイコンタクト。
俺達だけが知っている、互いの裏の顔。
唇を離した芦屋は、おもむろにジャージのズボンを下ろし、張り出したペニスを取り出した。
途端に友美の瞳が爛々と輝く。
そして、彼女は芦屋の脚の間に向かってその小さな唇をゆっくり開いた。
芦屋はふう、と息を吐いては天井を仰ぐ。
こんな俺らを他人が見たら、何と思うだろうか。
だけど、俺は思うんだ。
「んっ、んんっ」
ゆっくり視線だけを下ろせば、懸命にペニスを咥えこむ相馬の顔。
ーーきっと、誰もが裏の顔を持っている。
完