公園に子どもたちが いっぱいいた-1
デッコン、デチ!
アールで、デチ!
自分が小学高学年だったころ、こんなかけ声で「ジャンケン」をしていた。
1976年ごろ 中学の同級生が、このかけ声に対して
「『デチ』って何やねん。なんで『あいこ』が『アール』になるねん。」と文句を言ってたから、そのころまでは使ってたかけ声だ。
もっとも、その頃は学校の校区が変わると、ジャンケンのかけ声は変わってた。
ぐんかん、ぐんかん、はれつ!
ちんぼつ、ちんぼつ、ぐんかん!
なんてかけ声があった。
同級生が、このかけ声でジャンケンをしていたら、近所に住むオジサンに、
「そんなイヤなジャンケンをするな!」
と怒鳴られた話があった。
その頃、軍人経験者のオジサンがまだ多くおられたから、「軍艦沈没」なんて言葉は不謹慎だったのかも知れない。
少し離れた校区で、
じゃんけん じゃがいも さつまいも!
と言ってジャンケンしてる女の子たちがいた。
あいこになると「こいも!」と言ってやり直していた。
こういうのを聞くと、自分たちの「デッコン、デチ!」の独自性に胸をはったものだ。
第一、自分たちは「デッコンで決めようや。」と、ジャンケン自体を「デッコン」と呼んでいたんだ。
1990年代になって、京都のCD屋さんで見つけた『京のわらべ歌』というCDに、こんなジャンケンのかけ声が収録されていた。
祇園の夜ざくら ぐっと咲いた
祇園の夜ざくら ちょっと咲いた
祇園の夜ざくら ぱっと咲いた
これは、ジャンケンの「前置き」らしい。
ジャンケンの前に、「ぐっと」でグーを、「ちょっと」でチョキを、「ぱっと」でパーを出して、みんなのジャンケンのタイミングを整えるかけ声だったようだ。
関係ないけど、このCDには「うそ泣きする子を囃す歌」が収録されていた。それが、
うそ泣きするもん(者) 役者の子!
うそ泣きするもん 役者の子!
というものだった。やはり、役者という職業が身近だった京都ゆえだろうか。
そんな前置きのあるジャンケンに実際に出会ったのは、まだ自分が小さかった1968〜9年のことだ。
東京、小平の親類の家の近くで、自分と同じ年代の子どもたちが、
いっちゃんグー、ジャンケンポン!
というかけ声でジャンケンをしてた。しばらく見てると、「いっちゃんグー」のところで、みんなのグーを合わせて、それからジャンケンをする。
「ああ、ここの子たちは、こんなかけ声でジャンケンをするんだ……」と思った。
あとで、「いっちゃん」は「一番」の意味らしい事を知った。
今じゃジャンケンのかけ声は、
最初はグー、ジャンケンポン!
でほぼ統一されてる感がある。
始めのうち、この「最初はグー」がなんとなく「いっちゃんグー」の派生した形のような気がしていたが、そんな詮索はしたくない。
「デッコン、デチ!」なんか誰がいつ作ったのか調べようがない。
子どもたちの遊びに、もともと著作権なんてないんだ。