怒り-5
剛とボブが怪しく蠢く美紀子の両手を掴んで頭の上に持ってきて固定した。
「ああっ。……えっ……な、なにぃ?なんなのぉ?」
突然の中止に、悩ましい顔が歪み、寄せて眉が続きをせがんでいる。
「ちょっとだけって言ったでしょ」
「なんでぇ……」
拗ねるように甘えた声でせがむ。
「本当に痒かったのかしら?逝きたかったんじゃないの?」
「ええっ……そう」
「そう、逝きたいのね。これまでに何度も逝ってるのに。なんて欲張りなの?
ふふふ、じゃっ、別の方法でやってみようか。
ねぇ、剛っ!……あれ、塗って!」
剛は手に溶かしてきたバターの容器を持っていた。
まずは両方の乳首にバターを刷毛で塗った。
「ああっ、熱いぃ」
そして、股間の尖りの表面にも塗った。
そしてその上からホイップした生クリームを盛り上げた。
女体の三点に白い山が見える。乳首はクリーム隠れて見えなくなっている。股間の秘唇の合わせ目にはチョコンと白い山が見えていた。
「ヘイ、ケイコ!」
ボブが黒い子猫を抱いてきた。温泉宿の紅谷の本館で飼っている猫をボブが借りてきたのだ。子猫だが真っ黒だった。
「何ぃ?……えっ、何するの?
やだ、怖いぃ……やめてぇ」
「さぁ、猫ちゃん、おいで……」
ケイコが声をかけると、黒猫は何が起こったのかわからず、風呂場の出口に逃げようとする。
慌てた剛は、手の指先に生クリームを付け、猫に舐めさせ連れ戻して、美紀子の腹の上においた。
「さぁ、お舐め……」
今度は子猫は嬉しげに美紀子腹の上でグルッと回って乳首に向かった。右の乳首に駈け寄って舐め始めた。
「ああ……止めて……いやよぉ……怖いぃ」
黒猫は、ピチャピチャと舌を伸ばしてクリームを舐め、その下に隠れていたバターにまで辿り着いた。ザラザラした舌が美紀子の乳首を舐め上げている。滑り落ちないように乳房の麓には、うっすらと爪を立てているのだろう、爪の跡が何本か筋状に残っていた。
右が終わると喉を鳴らして左の乳首に移った。
美紀子は、まだ快感を得るよりも、猫の舌の感触のおぞましさの方が強かったようで。悶えるまでには達しなかった。
左の乳首を舐め終わった猫は、もう少し欲しそうに鳴いていた。ボブが猫を抱いて今度は美紀子の太腿の上に載せた。
猫は太腿の上を恐る恐る進み、秘裂の頂点に鼻を近づけた。
「ううぅぅ……」
黒猫は喉を鳴らして美紀子の股間を嗅ぎ、その頂点のクリームの山に鼻を埋めた。
そして、しゃくるように舌が尖りの頭を一定のリズムで舐め始めた。乳首と違い、今度は頭に響くような快感で悶えだした。
「ああっ……いいぃ……」
「そうなの。……いい気持ちなのね。可愛い顔の奥さんには、猫の愛撫が似合っているわね」
「むむっ!…ううぅ…」
「さぁ、猫の舌で、遠慮なく昇天しなさい」
「やん。……あうっ!……ああっ」
美紀子は眉を寄せ、焦点の定まらない目になり、奥歯を噛みしめて時折震えていた。
のけぞった。我慢できない呻きが、思わず唇から漏れてしまう。猫の舌は疲れを知らないのか、規則正しく舐めている。時折、舐めにくい場所を前足を使って拡げている。
「あぁぁ、いいっ……」
大きな声が洩れ出てしまうので、囲んでいる者がそれを見て笑った。
猫に舐められてか快感を得る……、猫の舌で逝かされる……、そんな屈辱と羞恥を越えて、美紀子のメスとしての欲求の方が勝ってきた。
「えっ……」
黒猫は同じ味に飽いたのか、スッと尖りから離れて、走って風呂場を後に逃げていった。
その突然の不意の中断に、美紀子は戸惑った。
「やだぁ、止めないでぇ……お願い、……もうちょっとなのにぃ……」
その言葉を聞いた回りは、声を出して笑った。