Girl Meets Devil 〜そのX〜-4
周りからどよめきが起こり、クラスメートが手荒い歓迎で恭夜をもてなす。
隣りでは明希が、
「いやぁ、愛の力は偉大だね!あたしも誰かとLOVEりたぁい♪」
とか言ってるがこんな場合は無視するに限る。
でも、今の恭夜…かっこよかったなぁ……
その時、恭夜がこちらに気付きニヤリと笑う。
先ほどのこともあり、私は咄嗟に顔を背け、俯いてしまった。
心臓はかなりの早さで脈打っている……
そのまま、何とか六回を守りきり七回の表、2点リード。
流石に相手もやばいと思ったのか、何やらベンチに動きがある。
バッターは4番なのだが、どうやら代打を使うようだ。
でも、野球部以上の選手がいるのかな?
「誰が出て来るんだろう?…あっ、出て来た!」
明希がそう言うので、相手てベンチに目をやる。
かなり細身の選手だな……
ん?あのバットどっかで見たような………って、葛城先輩!!!
私の見間違え?いや、あの朱色のバットと長い三つ編み、そしてあの鋭い眼光、間違いない…葛城光先輩だ……
こればかりは、我がクラスも予想外の展開で、タイムをとり、ほぼ全員(レフトを除く)がマウンドに集まっている。
「葛城先輩、何やってるんですか!?」
「おお、柊じゃないか。何やってるかと聞かれたら野球をやってるとしか答えられないのだか…」
いや…そういうことじゃなくて……
「何で男子の野球に出てるんですか?」
「実は私のクラスのバレーは午前中で負けてしまってな。私は会長の仕事があって出られなかったから、代わりにこっちに出てるんだ。」
今回は職権の濫用じゃないんだ…
「そうですか。手加減してくださいね。」
「無理だな。」
うっ…即答ですか…
「おっと、始まるみたいだ。じゃあな。」
そう言って先輩は打席に入って行く。
「茜、会長と知り合いなの?」
「うん、ちょっとしたね…」
「それより、うちのピッチャー大丈夫かな…」
「大丈夫じゃない?彼、一年のエースなんでしょ?だったら、いくらなんでも葛城先輩だって簡単に………」
カキィィィン………
「簡単に?」
「簡単に…打たれちゃったね……」
決して甘くない、内角ギリギリのストレートをいとも簡単にスタンドまで運んでしまった……