Girl Meets Devil 〜そのX〜-3
「…これで許してくれ。じゃあ、俺は行くからな。後ろの奴等にもよろしく♪」
「………」
唇に残る湿った感触に呆然としながら私は恭夜を見送ることしか出来なかった……
「ちょっと、アンタ達もうそんな仲なの!?」
「…ふぇっ!?あ、明希!あの、これはね……」
「ふふふ…隠さなくてもいいのに♪何、もしかして行き着くとこまで行っちゃったの?それならそうと早く言ってよ♪」
「だ、だから…」
「大丈夫だって!あんまりバラさないから♪」
それが不安なんだけど…
それに、『あんまり』ってことは絶対じゃないんでしょ?
「気にしない、気にしない。あ、そろそろ始まるから行こうよ。茜の愛の力で優勝間違いなしだね!」
はぁ〜…本当にそんなんじゃないのに……
どうしよう…これが広まったら、私絶対恭夜ファンに睨まれる……
恭夜の奴、こんなとこでキスなんかしやがって……
でも、アイツは私のこと、どう思ってんだろう…
ただの人間?
都合のいい契約者?
成り行き上の同居人?
それとも……
う〜、何だか頭の中がゴチャゴチャだ……
あ〜、もうやめた!考えるのよそう。
それより今は応援!
対戦相手は二年一組。これに勝てば、我が一年三組は総合優勝!
頼む、勝って……焼肉……
午後一時半、主審の野球部顧問が高らかに宣言する…
「プレイボール!」
両クラスともピッチャーは野球部。お互いに手の内を知っているので試合は膠着状態のまま0対0で五回を迎える。
しかし、この回の裏、我がクラスの攻撃でついに試合が動いた!
ランナー一塁、バッターは3番の恭夜。
相手ピッチャーの第一球。わずかに浮いた甘い球を見逃すことなく力を込めてバットを振り抜く…
キィィン…という澄んだ音が響き渡り、打球はセンターの頭上を越えていく。
誰がどう見ても見事なホームランだった。