潤の願い事-1
【潤の願い事】
真希の中に迸りを放った潤は、それまでの幸福感が急激に萎んでいくような感覚を味わった。真奈美にセックスを誘われて、高ぶった気持ちのまま、難癖のような戯言を用いて、強引に真希と関係を持ってしまった。
そもそも好意を寄せていたクラスメートの女子の母親と、淫らな関係を持ったことが間違いだった。が、性に興味を持つ年頃だ。潤はそれを正当化したくもあった。
(あのシュチュエーションなら、誰だって100パーやったはずだ)
それは若気のいたりで仕方がないとしても、真希のことを思えば、その後の関係は絶たなければならなかった。実際、何度もやめようとしたが、潤の下半身の我慢は、1週間以上続いた試しがなかった。結果、潤は真奈美を抱くために、最低週に1度のペースで矢野の元に通うようになっていた。
しかし、このままの状況では、真希に告白することはできない。真希とは普通に恋愛をし、幾度のデートを重ねてから、お互いを求め合いたかった。
そう思いはするが、精力を持て余した若い肉体は、中々踏ん切りをつけることができないまま、この日を向かえてしまった。
真奈美と真希のギクシャクした関係を修復するためとはいえ、欲望と勢いのまま、真希の穢れない肉体を求めてしまった。
(やってしまった…)
【卑劣な最低男!】
耳の奥にこびりついた真希の声が幾度も脳内再生されて、所謂【射精後の賢者モード】に突入していた潤を憂鬱にさせていた。
(でも、オレを呼んだ真希も悪いんだぞ)
そう思って、自分の下で体を重ねる少女を睨んだ。しかし、眉間に皺を寄せて「はぁはぁ」と事後の呼吸を調える少女の痛々しさを見ている内に、潤の顔に憂いの色が浮かんできた。
ヤリたいばっかりに交わした約束では、真希と関係を1回持てば、2人を解放することになっていた。
(1回だけでなく、1月間とか、長期的な約束にしとけばよかった…せめて1週間)
もし、その約束を破れば今以上に軽蔑されてしまうだろう。潤にはそれが堪えられなかった。もう卑猥な画像を盾に関係を迫ることはしたくなかった。それにさっき撮った画像を含めて、全部消去するつもりだった。
(待てよ、オナニーのオカズ用に何枚か残しといた方が…)
一瞬、邪な考えが浮かび上がったが、潤はプルプル首を振ってその考えを頭から追い出した。これが最初で最後かと思うと、まだまだこの状態のままでいたかった。幸い魅力的な真希の女体に触れているので、今の抜けない状態をいつまでもキープできる自信はあった。しかし、その内に真希の父親も帰ってくるし、このまま真希の中に居座り続けることはできない。問題はその後のことだった。
今やったことを棚に上げて、『普通の中学生カップルのように付き合いたい』と言えば、同意してくれるだろうか?
(ダメだ。昨日までならいざ知らず、卑劣な最低男と認識された今では近づくことさえ困難になる…)
唯一、真希に相手をしてもらえるとするならば、やはり基本?に返って画像を盾にして脅すしかない。果たしてそれを使って近づくことを同意させて、中学生カップルのような交際ができるのだろうか。
(できるわけねぇ…)
じゃあ、どうすればいい?この可愛い天使を諦められるのか?聡い潤にも直ぐに答えは出なかった。
「はぁ…」
これからのことを思い、潤はため息をついた。