ぶち切れた娘-1
【ぶち切れた娘】
真奈美は浴槽に浸かりながら、後で潤に連絡を取ろうと考えていた。もう会わないで欲しいと伝える連絡だ。
(もう、潤くんとはしない方がいい。そもそも初めから関係を持つべきじゃなかったんだ)
その場逃れに、流されるまま関係を持ったことが悔やまれた。あの時、もっと強く拒否していたら、こんな歪な関係にはなっていなかったはずだ。その関係に馴れたことで、調子に乗ってしまい、潤に卑猥なメールを送ったことも後悔していた。
「メール!」
メールのことを考えていた真奈美は、ふと気になることを思いだした。
「あのメール…、消したんだっけ…」
学校のトイレで潤に送信した卑猥なメールだ。メールを送った後でオナニーをして絶頂を迎えた。その直後、授業開始のチャイムが鳴ったことで慌ててしまい、その後のことがどうしても思い出せなかった。
一旦、気になると頭からそのことが離れなくなった。
スマートフォンはバッグに容れて、居間のテーブルの上に置いたままだ。いつもは用心して身近に置くため、脱衣場にまで持ち込んでいたが、考えることがあり過ぎてそれも忘れていた。
スマートフォンにはロックを掛けていたが、それについても気になることがあった。真奈美は前日に交わした真希との会話を思い返した。
『あれぇ、スマホにロック設定したんだ。どうして?』
『い、いいじゃない。落とした時のためよ』
『どうせ、大した情報なんて入ってないでしょ』
大した情報ばかりだった。
冷ややかに笑う真希を横目に見ながら、見られたロックパターンを変えなければと思っていた。しかし、真希の前で露骨にそれもできず、その場はそれを後回しにしていた。その後、家事に追われてしまい、今、思い返すまで失念していた。
(うっかりじゃ済まないよ)
居ても立っても居られなくなった真奈美は、勢いよく浴槽から立ち上がると、直ぐに浴室から出た。
素早く体を拭き、バスタオルを体に巻いたところで、背中にゾクリと悪寒が走った。その気配に恐る恐る後ろを振り向くと、いつの間にか、目を真っ赤にした真希が立っていた。
「入ったばかりじゃない。どうしてそんなに慌てて出るの?」
睨み付けるような真希の視線に圧倒されて、思わず真奈美は後ずさった。そして、ぶるぶる震える真希の手にそれが握られているのを見て血の気が引いた。
「まさか、これが気になったからじゃないよね」
真希は、気持ちよさそうに喘ぐ真奈美の画像を目の前に突き付けた。それを見た真奈美はへなへなとその場に崩れた。奇しくも母娘揃って同じ画像で同じ反応をした。
「ち、違うのよ」
「何が違うんだよ!」
罵声を浴びせた真希が、手にしたスマートフォンを真奈美に向かって投げ付けた。
「ううっ…」
それが体に巻いたバスタオルの胸の上の会わせ目に当たり、その衝撃でバスタオルがはらりと下に落ちた。出てきた真奈美の生の乳首が、画像の中で潤が弄んでいた乳首と重なった。
「こぉの淫乱ババア!なに乳首立ててんだよ!」
自分の母親だからこそ沸き上がる怒りだったが、真希は目の前の女を母親だと思わないようにした。真希は罵声を浴びせて目障りな真奈美の胸を足蹴にした。