ぶち切れた娘-5
「本当なんだろ。じゃあ、潤くんに聞いても問題ないだろ」
「…」
真奈美の一瞬の戸惑いを真希は見逃さなかった。
「なにグズグスしてんだよ。その汚いスマホで、早く電話して呼べよ」
「よ、呼べない…」
真希が潤のことが好きだとわかった今、潤と会うわけにはいかなかった。
「お、お前いい加減にしろよな」
怒りの余り、真希の声のトーンがさらに下がった。
「ヒッ…」
また乳首をつねられる。そう殺気を感じた真奈美は身構えた。
「呼ばないと、さっきのメールをお父さんに転送するぞ」
真希は汚いモノを掴むように、ハンドタオルを越しにスマートフォンを持ち上げると、メールのアプリを起動させた。
「あぁ…」
真奈美の体から力が抜けた。
「なに呆けてるんだよ。送信していいんだな」
同じだった。真希の今の姿は、初めて犯された時に強要した矢野と智子の姿と重なった。真奈美は、夫にバレること以上に、散々強要されてきた同じ手口で、娘から脅かされたことに全身に寒気が走った。
強要され続けて、散々嫌な思いをした真奈美だったが、それでも真奈美の性格は変わらなかった。無理強いされたら拒否ができない真奈美は、ノロノロと手を伸ばして、真希の手からスマートフォンを受け取ると、潤の番号を呼び出して電話をかけた。
「スマホをスピーカーにしろ、それと用事があるって断られたら、家でセックスしようって誘えよ」
真希は2人の会話を聞くために、スマートフォンをスピーカーモードにさせ、断られた時の助言をした。セックスを餌にすれば大概の男は拒否しない。それくらいの知識は真希にもあった。しかし、そう思いながらも潤には例外でいて欲しかった。
「も、もしもし、突然すみません。真奈美です」
『あっ、真奈美さん、珍しいですね。画像ありがとうございます。相変わらすエッチな表情してますね。で、どうしたんですか?』
スピーカーモードになったスマートフォンから潤の声が流れた。
「お願いがあるんです。今から、家に来てもらえないでしょうか」
真奈美は脅迫に屈してる者のように、敬語を使うように心掛けた。
『どうしたんですか?様子が変ですよ。家に呼ばれる理由はなんですか?』
何かを察したのか、潤の声には少し躊躇する様子が窺えた。
「いいから来てください。そして昨日みたいにあたしを犯してください」
潤の言葉にヒヤヒヤした真奈美は、いきなりそれを切り出して、畳み掛けるように頼んだ。