学校での淫ら行為-3
勿論、真希が案ずるようなことは真奈美は一切言ってはいない。真奈美が潤の前で口にするのは、そんなこととは全く次元が違っていた。前日も自分の母親がクラスメートに淫部を犯されながら、卑猥な単語を口走っていたことなど、真希の念頭には微塵もなかった。
(知り合いになったんなら、言ってくれたらいいのに!)
真希は少女らしい考えのまま、母親にキツい視線を送った。
真奈美は潤との視線の延長線上に、怪訝な表情を浮かべて自分を睨む真希に気付いた。
(み、見られてた…)
ギクリとした真奈美は、ぎこちない笑みを浮かべながら真希に手を振り、自身のうろたえた様子を誤魔化そうとした。しかし、そんな心を見透かされたように、真希の視線がさらに険しくなったように感じた。
気まずさに視線を反らそうとしたとき、黒板に課題を書き逐えた教師が声を張り上げて説明を始めた。その声に真希の視線が前に向いたので、真奈美はホッと息を吐いた。
その後、生真面目な娘は授業に集中し、同じく根は生真面目な母親の方も、娘の様子を気にしつつも、極力余計なことを考えないように、授業を参観することに専念した。
授業が終ると、真奈美は何か言いたげな真希にさっと手を振り、そそくさと学校を後にした。
「あっ…」
呆気に取られて声を洩らした真希だったが、クラスメートが居る中で、潤のことを聞けるはずもなく、真奈美の背中をただ見送るしかなかった。
その後のホームルームの時間でも、さっきのことばかり考えていた。
(どうしてお母さんが潤くんと…)
チラチラと潤に視線を向けては、真希の心の中で何度もその言葉が浮かんだ。
「おい真希、聞いてるのか?」
「えっ?」
突然、担任教師に名指しされた真希は現実に戻された。
「どうした?無事に参観を乗りきれて、気が抜けたのか?」
担任教師の茶化しに、クラスがどっと沸いた。
「えっ…」
この担任教師は人気者だが、軽薄なところもあって、気をつけていないと直ぐに茶化してくる。特にホームルームの時間は要注意なのに、真希は他に気を取られていたので、注意を怠っていた。
思いもせずにクラス中の注目を集めてしまった真希が、慌てて視線を泳がすと、クラスメートと一緒に笑っている潤と視線が重なった。
真希は自分の顔が一瞬で赤く染まったことを自覚した。
「おっ、赤くなったところを見ると、意中の男のことでも考えてたのかな?」
「ち、違います!」
速効で否定したが、恥を掻いたことには変わりなかった。
(ぜ、全部、お母さんのせいだ。帰ったら問い詰めてやる)
真希はこの屈辱の矛先を、真奈美に向けることを心に誓った。
一方、動揺を抱えたまま学校を後にした真奈美は、冷静になれと自分に言い聞かせていた。
(あれは単なる知り合いに手を振っただけ。自分が堂々としていれば問題はない)
そう思いはするが、このまま家に帰れば、またウジウジと考えてしまうことは自覚していた。
(いっそ、忘れるために、抱かれに行こうかな…)
矢野の肉棒と智子の割れ目を思い浮かべた真奈美の股間は、直ぐにウズウズと疼き始めた。
早速、矢野にメールを送ろうと思い、スマートフォンを取り出したが、その途端、この日は真希のクラブ活動がなかったことを思い出した。
「おまんこする時間はないか…」
卑猥な言葉を口にした途端、それに気づいて辺りをキョロキョロと窺った。毎日繰り返し口にしているので、卑猥な言葉は口癖になっていた。幸い周りに人が居なくて真奈美はほっとした。
一旦取り出したスマートフォンをバッグに仕舞った真奈美は、動揺を鎮めるために、そのまま家に帰らずに、近くのスーパーマーケットに行くことにした。
(スーパーに来たけど、矢野さんに貰った食材がまだまだあるしなあ…)
この時が一つの分岐点だった。そのままメールを打っていれば、以降の展開も違っていたのだが、特に買うものもなく、店内を彷徨する今の真奈美には、それを知る由もなかった。