第5話『シットバトルクラブ』-2
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『シットバトルクラブ』
番組オープニング。 軍馬の顔に取り付けられたCCカメラの映像。 1人1日2回の排便制限を守れず、人目のない場所で排泄を試みる市民。 『街外れ』『夜の公衆トイレ』『建物の裏手』など身近な場所に始まり、『川辺の繁み』『海水浴場の沖合』『山林公園の外れ』『畑に掘った穴』まで、お尻を捲る場面は様々だ。 一滴、一欠けらでも排泄が始まった瞬間、騎兵の指揮のもとに警察が確保する。 法令違反者は例外なく驚き、逃げだそうとするものもいるが、囲まれてしまえばどうしようもない。 その場で汚物を垂れ流しながら縄につく違反者の様子は顔のアップと共に映され、こうしてOPに編集される。
冒頭。 材料製作光景。 違反者が環境汚染したモノが、保健所の職員によって回収される様子が画面に流れる。 画面右上には違反者の『顔』『氏名』『所属』はもちろん、時折アップになるモノがどんな穴から出てきたのかを示すため、『尿道口』と『肛門』をそれぞれ自分で拡大した映像がポップアップする。 モノは、構造が崩れずに立派な形のまま残っている場合もあれば、周辺の草や石にこびりついてしまった場合もある。 水に溶けた結果、茶色い液体に所々残滓が浮かんだ状態になったケースや地面に沁みこんだ結果、回収しきれず土壌ごと採取されたケースもあった。 それら全てが保健所に持ち込まれて、残留濃度が0.10ppmをきるまで『ニホン』の先端技術で抽出、単離、精製、再現を経て復元される。 違反者は自分が無断で廃棄した排泄物を目の前に付きつけられ、至近距離で観察し、匂いを嗅ぎ、それが自分の排泄物に間違いないことを認めたところで、正式に番組出演が決まる。
排泄制限を破ったものを社会復帰させるには、『大腸をかさ上げする』か『忍耐力をつける』の二択だ。 『シットバトルクラブ』は排泄制限を守れるようになるための矯正プログラムという側面を持っていた。
ファーストステージ。 集められた違反者は約50名。 出場者は肌色の全身タイツを着ていて、食事に伴うお腹の膨らみや、喉が嚥下する様子が観察できるようになっている。 まず全員が拘束具がついた椅子に腰かけ、両手両足、そして腰と首を椅子の背もたれに固定。 上に向けた口を『イルリガートル式チューブ付マスク』に接続し、上重力によって流動食を流しこめるよう設定する。 ちなみに足は左右に180度開脚状態で、股間は事前に装着した『バルーン型アナルプラグ』で封印されている状態だ。 50名同時に『オートミール1L』を投入し、チューブ越しに早く完食した8名がセカンドステージへ進出した。
セカンドステージ。 選ばれた8名は『チューブ付マスク』から解放され、膨らんだお腹を抱えて『ビュッフェ・スタイル』の別会場へ。 料理は全て『練り物』または『流体』だ。 容器は軍馬が務めており、直腸には様々な味付けの『練り物』が、膀胱には多様な『流体』が込められている。 8名の違反者は、制限時間20分で好きな穴に直接口を付けて内容物を啜ることになるが、目隠しをした軍馬は、自分の穴に口づけされると全力で放つよう指示されており、違反者は溢れだす内容物の勢いに押され高確率で噎せてしまう。 口から一欠けらでも零した者はその場で失格になるため、必死にしゃぶりつく姿は滑稽を通り越して悲壮ですらあった。 なお、体重増加数の上位4名(失格者を除く)がサードステージへ進んだ。 脱落者はトイレの使用を許可された後、再度『チューブ付マスク』を装着され、ファーストステージの椅子に固定される。