二度目の聖夜-6
「佐伯、君?本当に来てくれたの?」
自宅である青果店の前に居たのは紛れもない彼そのもので。
「いよっ!会いに来たぜ!」
無邪気な笑顔を私に向ける。
「佐伯、君……。」
私は思わず彼に抱き着いて。
「俺ならこの通り、元気だぜ!」
「ふふっ!」
色々とあったけど特にやつれている感じでもなく。
それから私たちは部屋に行き、紅茶とドーナツで談話をした、その時間はとても幸せな物であり、それはあっと言う間に過ぎたのだ。
「じゃ今日は楽しかったぜ、またな。」
「うん!」
日も沈んでいき、自宅前で見送り。
そういえば彼と会えてすっかり気にしてなかったけど、彼はどうやってここまで?そりゃまぁ新幹線に乗ったに違いないけど。
私は聞かなくても良い事をつい尋ねてしまった。
「ここまで来るの大変でなかったって?…全然平気だよ、そんなの。」
「でも…。」
青森から北海道までの運賃だって馬鹿にならない。
彼は笑っておどけて見せるけど後でお兄さんの昴さんから「少ない小遣いでギリギリ来た
僕にも態々頭下げて足りない分出して…とお願いしてきた」と。
「うっ!」
まさか、というよりやっぱり、電話でおねだりした時に少しは頭の隅のその不安はあったけど、彼に会いたい気持ちがそれをかき消して。
「御免なさい!本当にっ!」
私のせいで、私が我儘を言ったがあまりに…。
向こうでまた揉めるのかな?折角落ち着いてきたっていうのに…。
これじゃーお付き合い何て。