二度目の聖夜-5
「あっ!風馬君。」
「若葉ちゃん、今から部活?」
「まぁね、そっちもだね。」
美術画材が積んである段ボール箱を持ち、これから美術室へ向かうのだろう。
「ごめんねー小鳥遊君、全部持ってもらって。」
「大丈夫だよ、このくらい。」
その横には同じ部員で彼に好意を寄せている稲葉さんが。
「相変わらずお人好しね、良い意味で。」
「でしょー?しかも何だか癒されるし。」
「ははっよしてよ!所で若葉ちゃんは彼と上手く行ってる?」
「え?…勿論よ、昨日も電話してさぁー、でも。」
少しおねだりのような素振りをしてしまった。
「若葉ちゃん?」
「っ!なっ何?」
「…何か、辛そうだね…。」
「そ、そんな事ないよー。」
「悩みがあるなら聞くよ?」
風馬君…。
「…小鳥遊君、私も悩みがあったら相談にのってもらえるよね?」
「勿論さ!稲葉さん。」
楽しそうな二人。
もしも、彼と付き合っていたなら相談事も独り占め出来るのだろうか。
「じゃあね。」
「あっうん。」
「行こう、稲葉さん。」
「やっぱ半分持つわ。」
「ありがとう。」
なぜだか寂しい目で部室へ向かう二人の背中を見つめる私。
風馬、君…。