堕ちていく身体-7
芦屋は、よがりたいのを必死で堪える友美の姿を視界の端に捉えては込み上げる笑いを噛み殺していた。
俯いてパラリと垂れた髪の間から覗く耳が真っ赤になっている。
かと思えば、泣きそうな顔でこちらを見たり。
友美の動作の一つ一つが、とても愛くるしい。
愛くるしくて、壊したくなる。
辛うじてローターの強さを弱にはしている芦屋だが、このままリモコンを強に切り替えたくなる衝動に駆られていた。
もし、友美の出席を取る時に、今握りしめているリモコンのスイッチを最大にしたらーー。
今朝方、バイブで散々弄ばれた友美の姿を思い出す。
恥ずかしい姿で拘束され、無機質だが激しいその刺激に、友美の顔は涙と汗でグシャグシャになっていた。
まだ幼さの残る鼻にかかった喘ぎも、芦屋の好みであり、友美が鳴けば鳴くほど下半身が熱くたぎる。
「関本ー」
「はい」
次はいよいよ友美の番。リモコンを握る手も汗が滲んでくる。
ゴクリと生唾を飲んでから、親指に力を込め、友美の名前を呼ぼうとしたその刹那。
「先生」
と、とある男子生徒が席からガタンと立ち上がった。
野球部の飛坂健太であった。
芦屋にも顔馴染みの坊主頭が、やや顔を赤くしつつも彼を見る。
中学生になってから本格的に野球を始めたという飛坂は、小柄な身体つきも災いしてか、なかなか芽が出ない部員であり、同級生はおろか後輩にまでレギュラーの座を奪われたこともあった。
だが、彼は決して卑屈になることもなく明るく振る舞うその裏で、並々ならぬ努力をし続ける少年であった。
部活が終わってから、芦屋の元にアドバイスやトレーニングメニューを訊ねることもしょっちゅうで、そんな熱心な飛坂を芦屋が可愛く思うのはごく自然なことであった。
「どうした、飛坂」
そのせいか、飛坂に対しては芦屋の口調も幾分柔らかくなる。
すると飛坂は、子犬のような瞳をキョロキョロさせてから、
「あの、相馬さんが具合が悪そうなんですが……」
と、芦屋に訴えた。