桔梗のショー-8
目を覚ますと応接スペースのソファに寝かされていた。
(桔梗は……)
桔梗も隣のソファに寝かされている、桔梗はまだ目覚めていない、しばらくそのままで体のダメージに思いを廻らせる。
性器にひりひりした痛みがあるが、大したことはなさそうだ……子宮には鈍痛があり、下腹が重い感じだ……しかし起きられないほどではない。
丁寧に掛けられていた毛布を払いのけてソファに起き上がる。
瞬間、快感が突き抜け、くらっとする、まだウテルス挿入の影響が残っているようだ……そっと這うように桔梗の元へ移動する。
穏やかな顔……すやすやと眠っているようにしか見えない。
毛布の小さなふくらみに視線を這わす。
自分の半分ほどの体……この体であの狂乱のショーを乗り切ったのだ。
そして不思議なことに……ショーを始める前はまるで子供だとしか映らなかったこの小さな体がショーの最中はとてつもなくエロティックに見え夢中で責めた、そして失神して横たわっている今は特別に美しく儚いものに見える……。
確かに桔梗はこの上なく不幸な境遇……しかし、そんな境遇がなければここまでのM性は開花しなかっただろうし、特別なオーラも纏うことはなかったはず……もしかしたらこの娘はエロスの神に選ばれた娘なのでは……自分もエロスの神に身を捧げて来たつもり、この娘と巡り会ったのは偶然なのだろうか……。
そっと髪を撫でると、「ううん」という声と共に桔梗の目がゆっくりと開く。
「里子さん……私、失神してました?」
「実は私もなの、桔梗の後、井上君にウテルスセックスをさせてね」
「私と同じことを?」
「そう」
「どうしてですか?……里子さんはSなのに」
「十三の娘にあそこまでさせて自分は無傷というのもね……私も鬼じゃなかったみたい」
「鬼だなんて……」
「井上君にウテルスまで入れられると、効くわね」
「ええ……あんなに大きいのは初めてでした、それにウテルスまで挿れられたのは初めてで……みなさん最後まで愉しんで頂けたでしょうか……」
「やっぱりそうだったのね? 全員が射精に至るまで耐えてた……」
「……はい……」
「あの状態でそこまで気を使うのね」
「習い性になってるだけで……」
「その方が更に驚くわ」
「ショーはそこで終わってしまいましたか?」
「女二人が失神しちゃ終わらざるを得ないわ、謝ることなんかないのよ、それがいけないなら私も同罪……」
「皆さん、満足していただけたでしょうか……」
「最初に終わりにしようとした時点で満足だったわよ、そこから更に失神するまで頑張ったんだから大満足だったわ」」
「それならいいんですが」
「根性あるのね」
「根性……ですか?」
「ええ、失神したことを気にするなんて……プロ根性よ」
「そんな……でも染み付いてるのかな……小さい頃から男の人に満足してもらうことで生きてきたから……」
「大変だったわね」
「ううん……いつの間にかそれが自分の満足にもなっちゃって……」
「ますます本物ね」
「え?」
「男性を満足させることが自分の満足……至上のMだわ」
「……でも奉仕してるだけじゃないんですよ、自分だってちゃんと感じて……失神した時は気持ち良かったです……白い光の中に吸い込まれて行くみたいな……また体験したいな」
「ますます本物よ、あれだけ責められれば普通はもうこりごりって言うわ……これでまだ十三なのよね」
「なんだか化け物みたいですね、私……」
「いいえ、あなたは最高の逸材よ、私のものにしたいわ」
「え?」
「……お父さんの借金っていくら位だったの?」
「五百万円くらいって聞いてますけど……」
「だれかがそれを肩代わりすればいいのよね」
「そんなことが……」
「私が肩代わりするわ、だから私の家に来なさい」
「え?」
「娘になってくれない? 私の……」
「……?」
「ピンと来ないのね……いい? 私がお父さんの借金を返してあげる、そうしたらあなたは自由でしょ? その代わり私の娘になって」
「……本当ですか?」
「中学もちゃんと卒業して、高校にも行きたいでしょう?」
「高校……考えたこともなかった……」
「行きたくない?」
「行きたいです」
「行かせてあげる、その代わり、高校を卒業したら私の店のホステス兼ショーガールになって欲しいの……」
「SMクラブの……」
「嫌?」
「私はMです、嫌なわけが……」
「あなたなら制約だらけの表のショーでもお客を唸らせてゾクゾクさせられるわ、私も思う存分腕をふるえる……五百万なんて全然惜しくないわ」
「私……お掃除やお洗濯、お料理も……上手じゃないけどやります」
「家事は半分こにしましょう、私だって一人暮らしが長いのよ」
「私……早起きして朝ごはん作ります」
「私、朝は遅いの、お昼になっちゃうわ」
「じゃ、晩御飯作ります」
「5時ごろなの、まだ学校から帰ってないわよ」
「じゃ、掃除とお洗濯は毎日……」
「そんなに気を遣わないくていいの、親子になるんだから」
「本当に……」
「いいわね?」
「……私、お母さんの顔を知らないんです……」
「お母さんでもママでも、好きに呼んでいいわよ……」
里子は桔梗をそっと抱いた。