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14's CHOCOLATE
【コメディ 恋愛小説】

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Past's CHOCOLATE-2

―春。俺は二年生になった。
ある決意を胸に俺は彼女に電話をする。
『もしもし。どうしたの?』
『言いたいことが…あって…』
『言いたいこと?なぁに?』
『ス…俺…と…』
『ん?』
『…好きだ!!俺と…付き合ってくれっ!!』
『…うん、いいよっ』
『えっ!!まぢ?やったぁーっっ!!』
『うん…好きだよ』
嬉しかった。なぜだか大声を出したくて、俺は叫びまくった。姉ちゃんが、『うっせぇんだよ!!糞ガキがっ』と怒鳴っても、俺はその夜ずっと『っしゃー!!』と叫びまくった。

付き合ってから三回目のデート。彼女が公園に行きたいというので、俺たちは見晴らしのいい公園に向かった。ずっと肌寒い日が続いていたのに、その日はとても暖かい日で、いつもなら彼女から『寒い』と手を握っていたのに、その日は、『寒い』を理由に手を繋ぐことはなかった。

公園には誰もいなかった。気持ちのいい風が吹いていて、空気が澄んでいるおかげか遠くに海が見えた。先を歩いていた彼女が立ち止まる。
『哲希、ちょっとかがんでくれる?』
『え?うん…』
俺は言われた通り、彼女の目線ぐらいまでかがんだ。
『ありがとう』
そう言って振り返った彼女の顔は、なぜか妙に寂しげだった。
『目、つむって…』
俺はゆっくり目を閉じる。ほのかにシャンプーの良い香りがしたかと思うと、唇にやわらかい何かがあたった。ビックリして目を開けると、彼女の顔がすぐ近くにあった。彼女のカールされたまつ毛がはっきり見えるほどに…。
ああ、そっか…。これって…。
この状況を理解した俺は幸福な気持ちでまた目を閉じた…。

その日の夜、彼女の方から電話があった。珍しいな、と思いながら出てみると、彼女は泣いているようだった。
『どうした?何かあったか…』
『ひっく…ごめん。…ごめんなさい…』
『何で謝んだよ…大丈夫か?』
『…あのね、ひっく…別れてほしいの…』
『な…何で…俺何かしたか!?』
『ちが、違うっ。哲希は悪くない!!…悪くないの…私が…全部悪いの…ごめんなさいっ…』
『…わかった。今まで、楽しかったよ…ありがとう…』
受け入れるしかなかった。俺が拒めば、彼女はもっと辛くなる。いや、違う。そんなの建前で…。俺はガキ過ぎてどうしていいかわかんなかったんだ。今まで彼女の言うことは絶対で、拒否することができなかった。甘えていたから…。自分じゃ何も出来ないし、動こうとしない。現状を理解し、彼女を必死で忘れるしかなかった。俺は普段、何も無かったように振る舞っていた。そうやって馬鹿騒ぎしている間だけは忘れられたから…。


「それから一ヵ月ぐらいしてからかなぁ。コノと席が隣通しになったのは…」
「……」
俺が話し終わると、コノの表情がみるみる変わっていった。…え、怒ってる?怒ってんの?何で、何で!?
「コノ?めちゃめちゃ顔恐くなってんぞ…?」
コノはぶすっとしたまま立ち上がり、俺の後ろに回った。一体…何が起きるんだろう…。そうだ!!今から起こり得る例を上げて対処法を考えていこう!背中蹴られたらぁ、取り合えず謝るだろ?パンチされたらぁ、やっぱ謝るだろ?謝ってばっかじゃん…。ちょと待て、俺謝るのおかしくねぇ!?聞かれたから、正直に答えた訳だし、俺悪くねえよ!!でも、あの顔…キレてたよな。やっぱりここは、一応謝っとくかっ?

結局、俺の考えは取り越し苦労だった訳で…。
正直、俺は驚いた。背中に心地好い重みを感じる。俺の首辺りに腕が回っている。…コノが後ろから、俺を抱き締めていたのだ。
「彼女さんに…ヤキモチ焼いた…。アタシと正反対過ぎ…哲希に一目惚れされたなんて羨ましいよ…」
コノが耳元で囁く。心臓がキュッと縮まったような気がした。


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