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あのときの言葉
【純愛 恋愛小説】

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あのときの言葉-1

「愛してる。結婚してほしい。そして一緒に来てほしい」あの日の言葉を覚えてる・・・ついさっき言われたように。あのころの私は勇気がなくて臆病で自分に自信がなかった。一緒に行って周りの人より彼に愛し続けてもらう自信がなく、いつか捨てられてしまうのではないかと。

今となっては後悔してる。なんでついていかなかったんだと。好きだった、愛してた。いまでも彼が好きだ。ずっと彼を想って過ごした3年・・・・・・・・・・・・・・・幸せだった。

私が高校にあがる3月に彼はドイツに両親と行くことになっていた。年は離れていて3つ年上で18だった。お互いの卒業式を終えて二人でまだ少し寒い公園で抱き合っていた。彼の様子は卒業間近になるにつれ変わっていったのを知っていた。重い口を開け「おれ、4月からドイツに行くんだ。」何かを振り切るかのように言い放った。ピアノで世界的注目されていた彼はドイツ音楽大学に行ってピアノをするんだと言っていた事を思い出した。まだ先の事だとばかり思っていたのに・・・・・・・・私は「行かないで」声にならない思いを言えずにいた。彼はちょっと鈍くて私の言いたいことわからずに戸惑っていた。「3年で戻るからそのときはおれは21、楓は19になってる。だから結婚しよう。」嬉しかった。ここまで自分のことを想っていてくれたんだと。だけど3年も離れて好きでいてもらう自信がなくて結局何も言えなかった。

その日から彼と会わずひたすら泣いていた。旅立つ前日に家にきて、「愛してる、誰よりも。一緒に来ておれの支えになってほしい。」嬉しかった。けど想いと裏腹に「帰って、顔なんか見たくない。」

出発の日、私の心と裏腹に空は彼の出発を祝うように快晴だった。時間は知っていたからどうしようか迷っていた。彼に会いに行くか。考えていたはずなのに気づいたら空港にいた。彼が嬉しそうな顔をして向かってきた、「どうしよう。なんて仲直りすればいいんだろうか」そんな事を考えてる間に彼は目の前にいた。私は「ごめんね。やっぱり一緒には行けないや、まだすべてを捨てられる勇気は持ってないから。でも、次会う時には結婚しようね。」長い沈黙のあと彼が何か言おうとしたとき、私はそれを止めた。辛くなるから何も言わないで。そんな願いを聞いてか彼は私にそっと口づけてゲートの中に入っていった。

それからの3年間私は彼に見合うような人になれるよう努力をした。そんなある日、4月1日に日本に15時着の便に乗って行くよ。と彼の活躍が載っていた雑誌の切り抜きと一緒にそんな内容の手紙が私のもとに届いた。

4月1日空は晴れていたが、私は何か嫌な予感がしていた。その予感が当たり彼の乗っていた便がエンジントラブルで墜落したのだ。それから間もなくしてテレビで彼の死んだことが確認された事が流れた。「間違いだ、そんなことない私は信じたくなかった。」しかし、現実は容赦なく追い打ちをしてきた。飛行機が落ちた映像がテレビに流れたのだ。飛行機が落ち爆発するまでだった。彼がいなくなったんだと、理解したとき私の中の何かが音を立てて崩れって言った。

実際、私は手紙はしていたが電話をしておらず声を聞いたのが出発前日に聞いた「愛してる。誰よりも、一緒に来ておれの支えになってほしい。」だった。その言葉だけが頭の中を駆けめっぐていた。そして、私はただ泣き伏すことしかできなかった。


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