第1話『世界の果てまでイッてきます』-2
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『世界の果てまでイッてきます』
冒頭、ブロンド女性のバストアップがモニターに映った。 軍人のクルーが構えるカメラに対し、カメラ目線で自己紹介を始める。 時折視線が泳ぐのは、どこかでカンニングペーパーを読まされているからだろう。
『エルザ・スタイン、23歳、牝。 身長158センチ、体重50キロ。 す、スリーサイズは90、59、89……です。 一昨日の晩、自分の部屋で、性欲を自制できず、無許可で、く……クリチンポをシコシコして……ぜ、絶頂する罪を犯しました。 許可されていないにもかかわらず、せ、性行為に励んだことをお詫びします。 は……恥知らずな私に相応しい、恥を公開する場を与えてくださったことに、か、感謝します。 どうか私の恥ずかしい、ま、マスターベーションを最後までご覧ください』
そういうと、ペコリ、モニターに向かって深々と頭を下げる。 一度画面が暗転し、再び映った映像はどこか国外の遊園地で『観覧車』に並ぶ列だった。 ブロンド女性は赤いコートにくるまり、強張った表情で『観覧車』の順番を待っている。 やがて女性の番がきて、『スケルトン』タイプの『観覧車』にハンディカメラを構えたクルーと共に乗り込む……と思うと、即座に女性はコートを脱ぎ捨てた。 コートの下は、一糸まとわぬ全裸。 そのまま『観覧車』の床に股間を押しつけ、すごい勢いで上下に腰を振る。 『スケルトン』タイプなため、観覧車の床はガラス張りだ。 下からも、上からも、全裸で腰を振る姿は丸見えになる。 それでも女性は腰ふりを止めず、やがて首輪が点滅し『ビーッ』という機械音が響いた。 女性は床に這いつくばったまま、ビクン、ビクンと痙攣している。 すなわちたった今、女性は絶頂を迎えたのだ。
ここで画面が暗転し、女性に与えられた指令メモの映像に替わる。 『スケルトンタイプの観覧車が一周する間に、手を使わずに絶頂すること』、これが女性に課せられた行為だ。 続いて『合格』のテロップが流れ『世界の果てまでイッてきます』1人目の映像は終わった。
『世界の果てでイッてきます』という番組は、1回の放映で4人の犯罪者が世界各地で自慰を披露する。 そのうち1人目は常に『シチュエーション・オナニー』といって、変わった場所での自慰を披露することになっている。 例えば『船の先端にあるマリア像に股間を擦りつけるオナニー』だったり、『高速道路を走る車のボンネットに俯せに張り付きながらオナニー』だったり、『男性用トイレの蛇口を股座に咥えて腰ふりオナニー』だったりする。 多種多様なシチュエーションで自慰をして、きちんと絶頂できる確率は50%ほどしかない。 そういう意味で、今回の『観覧車オナニー』は良心的なシチュエーションといえるだろう。
続いて現れた2人目は、ダークブラウンのストレートが眩しい、まだあどけなさが残る少女だった。 カメラに向かって、
『エヴァ・ブラウン、じ、十六歳、め、牝……身長149センチ、体重43キロです。 スリーサイズは……82、50、79……です。 け、今朝はやく、朝のシャワーを浴びているとき……シャワーを……お、オマンコに当てて、そのまま、き、気持ち良くなってしまいました。 無許可でシャワーオナニーで、ぜ、絶頂しました。 許可されていないにも関わらず、性行為には、励んだことをお詫びします。 恥知らずなあたしに相応しい、恥を公開する場をあ、与えてくださったことに感謝します。 ど、どうかあたしの恥ずかしいマスターベーションを、最後までご覧ください』
たどたどしく自己紹介する。 性感に遅咲きな少女にとって、今朝の自慰は、実は人生最初の自慰だった。 けれど、そんなことは関係ない。 自慰は自慰、絶頂は絶頂、法律違反は法律違反だ。 画面が暗転し、場面は学校の教室になった。 中には引き攣った表情の少女と、呆然とする男子生徒がいる。 男子生徒が見ている前で、少女はゆっくり下着を脱いだが、明らかに腕は震えていた。 のそのそと机に登り、狭い机の上でブリッジをつくる。 つまり自分のオマンコが男子生徒に良く見えるよう、腰を浮かせて拡げたわけだ。 左手で体勢を支え、右手を股間にあてて、ぐにぐに、ぐなぐな、揉みこむようなオナニーが始まった。 男子生徒は息を忘れたように、少女の股間を凝視している。 そんな視線を感じてか、真っ赤になった少女の瞳からポロポロと大粒の涙が零れたが、少女は手を休めない。 否、休めることが許されない。 何故なら絶頂を告げる首輪のランプは、依然として未点灯のままだ。
そんな映像が10分ほど続いただろうか。 やがて首輪に変化が見られないまま画面が暗転する。 続いて映った指示内容は『片想いの男性に膣の奥を見て貰いながら絶頂すること』……初めて自慰したばかりの少女には、荷が重すぎる課題かもしれない。 流れてきたのは『不合格』のテロップだった。