無謀な決断-1
「映画、面白かったね。」
「うん!あれが4Dかぁ、広告以上に迫力あったね。」
いつもと変わらない彼との休みの日、映画鑑賞を終え次にカフェへ向かう、すると。
「っ!!」
またお腹にずきっとした痛みが走り歩みを止め、咄嗟に傷んだ所を抑える。
「大丈夫?」
「…う、うん、昨日ちょっとドーナツ食べ過ぎたのかな。」
心配そうに見つめる彼、昨日ドーナツを10個くらい食べたのが原因と自分に言い聞かせ。
冗談じゃないわ、風馬君との楽しいデートなのに今日数えただけでこれで5回目、痛いし何か悔しいし、何より彼に不安な思いをさせてしまった。
気を取り戻しカフェで珈琲でも飲む事にし、注文をしテーブルに腰を下ろし。
「若葉ちゃん…。」
「……。」
弱弱しい彼の声と顔。
「ごめんね、折角の楽しい休日なのに…、こんな。」
「…いいよそんなの、それよりもう帰ろう?早く家で休んで。」
彼の心配の声を他所に遮るように、注文してた珈琲が出来て取りに来るよう呼ばれ。
「あっ!僕が取りに。」
「いいよいいよ!全然大丈夫だから。」
自分を振り払うように先に私が立ち、スタスタと向かい、2つの珈琲が乗ったトレイを手にし、彼の居る席へ向かう、するとそんな私と彼の想いを裏切るようにまたもお腹がそれもとても強くペンチでつねられるが如く激痛が走り、歩く力を失いそして立つ事も。
「若葉ちゃんっ!!」
床にトレイとカップが床に叩き付けられ、大きなカップの割れる音、何事かと周りの人から一斉に視線を浴び、私は抵抗する事も出来ず、そのまま液体の上に倒れ、彼は椅子を倒し人にぶつかるのもお構いなく私の元へ駆けつけ。
「若葉ちゃん!若葉ちゃん!」
視界に映る天井がぼやけ、風馬君の悲痛の叫び声だけがうっすらと聞こえ。