愛を満たす初夜-3
彼の部屋にはせめてのもおもてなしと珈琲とドーナツが床に用意しておる。
「お風呂サンキューです♪」
「うん、どういてまして。今丁度珈琲淹れた所だよ、温かいうちにどーぞ。」
「あぁ、ありがとう…。」
風呂の後に温かい飲み物か、顔が思わず引きずる。
「あーごめん、そうだよねー何やってんだろ僕ってば、ちょっと取り換えてくる!」
「いーよいーよ!外まだ雨で寒いし、すぐ冷えるって。」
部屋もストーブ全開のようで、もてなし精神満載だ。
「ありがとう私の為に色々としてくれて、やっぱ接客業何かやってると違うね。」
「僕何てただパンの品出しや掃除してるくらいで。」
「それにこの…ドーナツ💛」
普段巴ちゃんと行くドーナツ店も普通に嬉しいけど、これは何か異なる、想定内の幸福と想定外の幸福はまた…。
「ふふ、この前お母さんとスーパー行った帰りにドーナツ店が販売車してたんで買ったんだ、とっても美味しそうだったので。」
「けど風馬君そんなにドーナツ好きだったっけ?」
「普通に好きだよ、増して君の好物だって知ったら買わずにいられなくて。」
「ひょっとして確信犯?」
「違うよー、日頃からドーナツにありつくようにしてるんだ、どーせおやつ買うなら自分の好きな人の好物を思い浮かべてさ。」
「しかもこのドーナツちょっとした有名店のものじゃない。」
「そうなの?てゆーか分かるんだ、流石。」
最初雨に降られた時はムカッときたけど、お風呂に浸かって美味しい珈琲とドーナツに出会え、何より彼ともっと居られる、正に恵みの雨ね。
「ほら、かびないうちにどーぞ。」
「ほんとね、どうしてラップしてくれなかったんだろ、ドーナツが泣いてるよ。」
「ドーナツが泣く?んもぅーさっき飲み物は熱いので良いって言ったのに…。」
お黙り!ドーナツをそこらの食品と一緒にするでない!
「良い匂い💛」
「種類色々なのにしといたから。」
「でも風馬君は少し臭うね。」
「えっ!?…だから大丈夫だって。」
「でもさっき私を家に入れてあげる為に駆け寄ってくれてたじゃない。」
「それはー。」
ドーナツを頬張りながら無言で指で風呂に行くように仕草する。彼渋々風呂へ行く。
未だ止まない雨、美味しいドーナツ、彼の部屋。
想定外の幸せはまた新鮮ゆえとても楽しい、さっきまでうっとおしいと思ってた雨も今じゃ心地良い音色と化している。
こういう時、机や引き出しから見てはならないものを発見してしまうような展開があるけど、まさかな。
そんな事考えなくても机には私とも思い出の写真や私がプレゼントしたものが大事そうに置いてある。
私と彼の共通の宝物、いつか欲しいな。
「ふぃーあがったよー。」
「あら早いね。」
「やっぱ客人待たせてゆっくり浸かるのは…ねぇ。」
半ば強引に風呂に行かせたけど、中々いい香りしてる。
「僕が居ない間変な物見てない?」
「定番だね、ううん信じてるから、でもエッチな本とか隠してそう。」
「そんな訳ないでしょう一条君と伊吹さんじゃあるまいし。」
「まぁ確かにあの二人いちいちエロい事言ってくるな、この前何て「スポーツ以外で汗掻いたかい?」って。」
「大体興味ないよ、君以外の女の人の裸何て。」
え?
「ねぇ、若葉ちゃん。」
「っ!!」
突然彼は私をベットに押し倒してきて。