性交前 後編-6
お姉ちゃんのアパートに行く。
真琴さんがドアを開けてくれる。
申し訳無さそうな顔をしてる。
「ごめんね、ハルちゃんに隠し事できないの」
お姉ちゃんはあぐらをかいて畳に座っている。口をへの字にして堪えてる。
どこに怒りを向けていいのか分からない様子だ。
以前のお姉ちゃんなら、すでに怒鳴っているとこだ。
大きな声を出さないのは、真琴さんに釘を刺されているに違いない。
「勝手に上がってごめんなさい。申し訳ありませんでした」
何か言われる前に、畳に手を着いて頭を下げる。
「真琴に恥かかせて、どういうつもりよ?」
「ハルちゃん、それは私が迂闊だったから…」
カチンとくる。
「お姉ちゃんこそ!
こんなにきれいで、素敵な人に恥ずかしい思いさせて!どういうつもりよ!
自分のウンチを舐めさせるなんておかしいよ!」
「うるさいっ!!あたしと真琴はずっと付き合ってるからいいんだよ!」
「お姉ちゃんは真琴さんを大切に思ってない!お姉ちゃんにはもったいよ!」
「な!ん!だ!とぉ〜!!」
真琴さんは私を抱いてかばってくれる。
私は、お姉ちゃんの迫力に負けて、必死で真琴さんにしがみつく。
「ハルちゃん…、落ち着いて…」
「自分の相手見つけろっての!」
「ヤダ!」
お姉ちゃんは私を、真琴さんからもぎ取ろうする。
「離れろって!この!」
「いっ、嫌だぁ!そんな知らない人となんて絶対に嫌だぁ!
初めてはちゃんとした真琴さんがいい!」
「うムゥ、ぐるるる」
「ね、ハルちゃん。落ち着いて」
お姉ちゃんの頭から、湯気が盛んに出てる。
「勝手にしろ!」
お姉ちゃんはドアをバタンと閉めて、アパートから出て行ってしまった。
出て行ってしまった…。
よく分からないけど、自分のしたこと言ったことにばく然とした不安を覚える。
「あと、私がフォローするから、今日は帰った方がいいね」
「はい…、そうします…。すみません…」
真琴さんに頭を下げるしかなかった。