終焉の時-1
赤黒く染まる空
轟音と共に鉄の雨を降らす黒い鳥
幼い子の手を引いて灼熱の世を逃げ回っていた
ガラスの雨 燃え盛る炎
耳につく悲鳴 嗚咽
この世は狂ってしまった
狂った世界で それでも生きなければと思った
幼子もその小さな手に力一杯の希望をもって私の手を掴む
『大丈夫 きっと大丈夫』
幼子に言いながら自分にも言い聞かせる。
黒くなって転がる隣人に躓き
一瞬の光で影になった彼の上を跨いで行く
赤黒いこの世界で希望の光を目指して走る
再び目の前を襲う閃光
目を奪われ幼子に覆いかぶさる
私たちの辿り着いたのは絶望の丘
狂った世界は何の意味も残さずに 今日もまた終焉へと走り抜ける