性交前 前編-1
「あかり、お姉ちゃんの様子を見てきてくれない?今月のお小遣い、もう一度あげるから」
それはフンパツだ。
私のお姉ちゃんは、
高校を卒業して短大に進学すると、家を出てめったに帰って来なくなった。
「ほら、春美は昔から変わってるじゃない?お母さん心配なのよねぇ」
お姉ちゃんは高校生になって、長かった髪を短くして、色を抜いた。
背が高くて、切れ長目のお姉ちゃんに似合ってて、私はすごいカッコいいと思った。
周りで波風が立ったけど、お姉ちゃんは今まで通りひょうひょうとしていた。
さすがに真似できなかったから、私はお姉ちゃんの代わりと思って髪を伸ばしてる。
背の低い私には似合わないし。
お姉ちゃんは変わった事や悪い事はしないけど、
元々口数が少ないから誤解される事は多かった。
でも、お姉ちゃんは平然としていた。
ただ、切れ長に三白眼のせいで、他の人を寄せ付けない雰囲気があった。
「あかりは仲いいじゃない?偵察に行ってきてよ」
私は、
お姉ちゃんが、実は女の人を好きなのを知っている。
お姉ちゃんが高校生の頃、同じ学年の人と付き合っていたのを知ってる。
たまたま駅ビルの奥の階段で、隠れてキスしてるのを見てしまった。
お姉ちゃんは背中を向けてたけど、見間違いは絶対なかった。
相手は普通の、可愛らしい感じの女の人だった。
でも、
お姉ちゃんは最初から私のお姉ちゃんで、途中から急に変わったんじゃない。
「連絡入れないで突然行くのよ。証拠隠滅の恐れがあるから」
「それは親しき仲にもナントカじゃないの?」
「いいのよ妹なんだから。
男物が無いか良く見るのよ、洗面台とか下駄箱の中とか細かい所までチェックするの」
「ハイハイ。
トツゲキなんだからいつ行ってもいいでしょ?私だってすることあるんだから」
「いいけど、お駄賃の半分は成功報酬よ。これ合鍵、渡しとくから」
お姉ちゃんのアパートの部屋の鍵を受け取る。
「ちぇっ」
しっかりしてる。