動き-2
回覧板を美紀子が武史の家に届けに来たときのことだった。
「武史君……すっかり学生らしくなったわねぇ。
寒いけど,元気そうね?」
「はぁ、まぁ」
「これ、いただき物の柿なの。……お母さんにあげてね。
今日は、これから少し暖かくなりそうねぇ……」
そう言って、美紀子が空を見上げたときだった。
美紀子の鼻孔が見え、そこから吐き出されるなま暖かい息が武史の顔にかかったのだ。
その瞬間に武史のスイッチが入ってしまった。
美紀子の顔が、まさに挿入して絶頂に達するときの顔や姿と重なったのだ。
顔を下から見上げた。ただ、それだけなのに……。
たぶん、人妻の卑猥なグラビア写真を撮っていたことなどが後押ししていたのだろう。
突如、武史の股間が熱くなり、むくむくと大きくなってくるのがわかった。思わず喉がゴクッと鳴ってしまった。
武史は慌てて、股間を押さえた。
「じゃぁ、……回覧板、お願いね」
そう言い残して帰って行った。
もしかしたら吐息の中に男を刺激する何かがあったのかも知れない。
それ以来、美紀子のことで頭が一杯になった。
美紀子の行動がとにかく気になり、とことん毎日の行動を観察するようになった。
それまで躍起になって物色していた大学に通う女学生には全く興味が無くなった。
頭の中は、もう美紀子のことだけになってしまった。
(美紀子は,人妻なんだぞ。……それに憧れるなんて……)
中学生の頃、隠し撮りした若い頃の妊婦姿の美紀子の写真を、もう一度ハードディスクから探し出してきて、改めてパソコンの画面で眺めた。
(なんて、素敵なんだ。……どうして、今まで気がつかなかったんだろう)
中学生の頃に戻ったように火が付いてしまった。
そして、パソコンを見る目が、しだいに淫らなものに変わっていた。
(ああっ、骨が折れるほど思いっきり抱きしめたい……)
(残っている母乳が出るほど美紀子の乳首を強く吸ってみたい……)
(柔らかい陰毛の中に顔を埋めてみたい……)
(硬く勃起したクリトリスを甘噛みして、舌先でころがしてみたい……)
(いきり立って挿入したマンコの中で搾られるほどペニスを締め付けられたい……)
武史は自分でもおかしいと思ってはいるものの、美紀子の裸を想像しては、どれだけの精を美紀子のために虚しく放ったことか。
まず、武史は美紀子の一日の行動を観察することから始めた。
美紀子は、比較的朝早く起きて行動することがわかった。
6時というともう起きていた。
まず、娘の朝食を作っているようだった。
つぎに、家の中を掃除機をかけることが多かった。姿は見えないが、窓を開けているのでモーターの音でわかった。
その後、玄関に出てきて水を撒いて掃き清める。
そして、ゴミをステーションまで捨てに行く。
8時前後に娘を送り出し、パートに出かける時間は9時前後だった。
このようにして美紀子のタイムスケジュールを頭に刻んでいった。
また、武史は夜になると家の外に出て、近所の人の眼も気にせず、美紀子の家を観察した。正確には美紀子の観察だった。
数日かけて、美紀子の入浴タイムやトイレタイムも確認した。窓に美紀子のシルエットが映ると、それだけで興奮の極みだった。
武史にとって美紀子はアイドルそのものとなっていった。隠れて写真や動画を数え切れないくらい撮っていた。
ときどき、武史は夜になると美紀子の家の敷地にも侵入した。
身体を潜めて建物の外から浴室や便所に近づいた。
美紀子が立てる僅かな音も聞き漏らすまいと聞き耳を立てたことが何度もあった。そんなときは必ずと言っていいほどカチカチに勃起していた。