訃と夫と婦-8
陰毛部分を舐めていた豊川は、この後クンニをするべきかどうか迷った。
元々クンニが苦手な豊川だが、この時は無性に望未のオマンコを舐めたい思いが溢れていた。この場の流れもあるけれど、別れた元嫁に懐かしさだけではない特別な感情が湧いてきていたことを、ひしひしと感じていたからかもしれない。
が、望未が本当にこのままクンニをさせてくれるのか?
そんなわけはないだろうとも思っていた。
自分の下半身がどういう状態になっているかぐらい承知しているだろう。ただでさえ自尊心が強い望未のことだ、その清潔とはかけ離れた状態のオマンコを豊川に委ねるはずがない。
結婚時代だって、シャワー後でないと身体を許すなんてことは絶対になかった。
そんな望未だから、拒まないわけがない。ましてやゆきずりに近いシチュエーションでもある。
折角ここまで盛り上がってきているのに残念ではあるけれど、一呼吸置くのはやむをえまい。豊川はそう思った。
(いいの?このまま汚いあそこを舐めさせて。本当にいいの?)
望未自身も、自分の行動に驚き、自問自答していた。
人間の性格なんて、そう簡単に変えることなんてできやしない。ましてや頭の固いことは自分自身が一番よくわかっている。
『たまには物事簡単に考えてみたらどうだ。世の中難しく考えることなんて、そんなにあるわけじゃないぞ』
いつだったか、父から言われた言葉が急に頭に浮かんだ。
肩肘張って、シングルマザーの肩書に負けないようにと日々走り続けていて、心身ともに疲れていた時に、その姿に気付いてくれた父が掛けてくれた言葉だった。
シングルマザー生活は苦しい部分もあるが、何とか成り立っていて、これから先もある程度は順調に進めていけるとは思っている。物理的にはそうだろう。
だが、心の荒廃感はいかんともし難い。和真と別れてから、その荒廃感はより一層強くなっていた。
何かに縋りたい。人の温もりを感じたい。
ただ、それが誰でもいいわけではないこともわかっている。慎重で固い人間だからこそ、誰彼と手あたり次第なんてことにはならなかったが、心では男を求めていた。肉体的にも。
今日、久しぶりに別れた豊川と再会した。菜緒のことに限って、時々はメールやラインなどで連絡を取っていたが、実際に会うのは数年ぶり。
どこか会いたくない気持ちもあったが、一目見た瞬間、体温が1℃以上上がったように感じた。
自分が求めていたのはこの男だと、どこからか頭の中に声が響いた。
望未の濃くも薄くもない陰毛に顔を埋めていた豊川は、クンニを諦め顔を上げようとした。
その瞬間、予想だにしないことが起きた。
望未が、豊川の頭を押さえ、自分の一番恥ずかしい部分に導いた。
(うそっ!マジか!!)
今日これまでの望未との情事の中で、驚くことはいくつもあったが、この行為が一番驚いた。
(まさか、あの望未が)
一瞬、望未と同じ顔をした全くの別人と自分はSEXしているのではないかという錯覚に陥ったほどだ。
が、これは現実で、豊川の目の前には熟しきったオマンコ。一日中蒸されて、異臭を放っているオマンコがパックリと口を開いている。
強烈な匂いだった。性器臭と小便の残り香が入り混じり、たっぷりと蒸れに蒸れた何とも言えない汚臭。いや悪臭に他ならない。それも酷い悪臭だ。
豊川はどうにもこの性器臭が苦手で、これまでも流れで無洗状態でSEXをし、クンニも経験しているものの、自ら進んですることはまず無かった。
ただでさえ、クンニはそれほど好んでするでもなかったから余計である。
しかし、目の前にはそれがあるのだ。経験した中でも、ここまで強い臭いを放っているオマンコには出会ったことがないほどの。
それでも、望未に対する感情の昂ぶりが欲望となって豊川を突き動かす。
豊川は意を決し、顔をその激臭の中心部に埋めた。
「うぉぇおぉっ」
反射的に嗚咽声を出し、顔を背けてしまった。それほどまでに強烈だった。
望未には悪いとは思ったが、そうせざるを得ないくら酷い。
(ああ・・・・・・すごく臭いんだわ。私のアソコ。それなのに、私ったら無理やりこんなことさせて・・・・・・)
自分で自分が信じられない。望未の頭の中は完全に混乱した。
何年も一緒に暮らしてきた男とはいえ、既に別れている元夫に、結婚時代にでもさせたことのないような行為をさせている。
望未は、豊川の髪を掴みながら、自分の中で何かが崩れていくのを感じた。
強烈な臭いに、一瞬怯んだ豊川だったが、それでも止めることはせず、必死に舌を伸ばし、直接膣口付近を舐め始めた。
舐めた瞬間、ピリッとした感覚が舌を襲ったように感じた。実際そこまでの痺れ感があったかどうかは定かではないが、強烈な臭いを嗅いでいたため、心理的にそう感じたのかもしれない。
オマンコを舐めると、鼻だけではなく口からもその悪臭が吸い込まれてくる。吐き気をもよおすレベルなのだが、不思議と舐め続けてしまっている。
大陰唇を左右に広げ、既に伸びきった小陰唇のひだひだを丁寧に舐める。時には口に含み、唇で軽く挟んでみる。
喧嘩別れし、いまだ仲直りしておらず、それ以前に今日ここまで進んでいながら、まともな会話もしていない元嫁のオマンコを舐めている。それもとんでもなく臭いオマンコをであるにも関わらずだ。
愛情なんてとうの昔に枯れ果てていたはずなのに、何故だか愛おしく感じている自分自身が、豊川は信じられなかった。
お互い、何がここまで突き動かせているのか、その正体ははっきりとはわからない。
だが、紛れもなく全裸でSEXしている自分たちがいる。
豊川だけでなく、望未もそれを受け入れている事実。
二人とも不思議な感覚に包まれていた。