訃と夫と婦-6
望未は、豊川に立つよう促し、自分は豊川の前に跪き、カチャカチャとズボンのベルトを外し始めた。
手早くズボンを脱がせるとボクサータイプのパンツが現れる。そこはもう大きく盛り上がっていた。
はぁはぁと息を荒げた望未は、パンツ越しに豊川のチンポを撫でた。
もう我慢出来ないといった感じで、すぐにパンツまで下ろすと、目の前には久しぶりに対面する元夫の一物が現れた。
若い頃のように、ビンビンとした膨張度合は見られないが、それでも十分過ぎるほどに勃起している。
望未は久しぶりの男根に目を細め、うっとりとした表情で、裏筋に舌を這わせた。
この日は朝から良いお天気で、10月にしては暑い日だった。互いに忙しなく動き回っていたので、少なからず汗をかいているはずで、性器周辺も蒸されている状態だ。
帰宅後、そのままコトに及び、シャワーは浴びていない。つまり、汗や体臭などの生活臭がそのままのカラダで抱き合っている。
豊川の知っている望未は、このような清潔とは言えない状態で、SEXに臨むことなど一度たりともなかった。
嫌悪感もあったのだろうが、プライドの高い望未のことだ、不潔な自分のカラダを晒すことや、不潔な男のカラダに触れることなどはもっての外だと思っていたはずだ。
それがどうだ、清潔できれいとは言い難い豊川の男性器を自ら進んで舐め始めている。はぁはぁと興奮収まらぬ息遣いでのフェラチオは、当時の望未からは想像できない行為だ。
どこで覚えたのか、誰に仕込まれたのか、気にしないようにしていても、当時とここまでかけ離れた望未を目の当たりにすると、見ず知らずの男の姿がチラついてしまう。
「はぁぁぁっぅ」
望未は、自分のはしたない姿を思い浮かべると、逆にそれが羞恥心を煽っているのだと思った。長時間洗っていないチンポを口にするなんて、結婚当時の豊川はもちろん、あれほど愛していた和真にでさえしたことのない、猛烈にスケベな行為だ。望未にとっては、ある意味変態的な行為だと言っていい。
何故、そんな行為を考えるよりも先にしてしまったのか、自分でもわからない。
(ああっ、こんなことって・・・・・・)
頭の片隅でそんなことを思いながらも、フェラチオは止まらない。豊川のチンポは、蒸れたパンツの中で一日を過ごした割には、思いの外強い性器臭がしているわけではなかった。無論、全く匂いがしないわけではなく、それなりの匂いが立ち込めるも、フェラチオを継続出来ないほどの匂いではない。
それまでの望未であれば、すぐにでもシャワーを浴びさせ、清潔にした状態でないと、しゃぶることなんてまずしなかった。
だが、この日の望未はいつもの望未と違う。自分の変態的行為に酔ってしまっているのか、より匂いがキツそうな部分に舌を這わせ始めた。
玉袋と太腿の付け根部分。袋が最も密着していて、匂いが一段とキツい部分に。
「ふふぁぁぅっ」
眩暈がしているようだった。動物的な匂いに誘われるかのように、豊川のそこを舐めると、体験したことの無い、猛烈な性衝動にかられた。自分でも信じられないほどに鼻を鳴らし、舌を押し付けていた。
豊川は、望未の行動に驚きを隠せなかった。驚愕と言ってもいい。
真面目で、悪く言えば面白みのないSEXしかできないと思っていた望未が、積極的を通り越し、理性を超えた野性的な振る舞いを魅せている。
豊川もそれに応えるべく、苦手な無洗オマンコを舐めてあげようと思った。
一心不乱に舐め続けている望未を促すと、彼女もどうしたいのかわかったのか、立ち上がり、自分のベッドルームに足を向けた。
スッと豊川の手を取り、手を引くようにベッドルームに誘った。
望未のベッドルームはシンプルにまとまっていた。6畳ほどの部屋に、シングルベッドと電子ピアノが置いてあり、狭くても機能的に過ごせそうな感じがした。
キスから雪崩が起きたように一気にここまできたため、このタイミングは一呼吸置けたといえる。多少なりとも冷静になれる時間があったのに、望未の熱は冷めるどころか、更に熱くなっているようだった。
二人はベッドにもつれる様にして埋もれ、再びねっとりとしたディープキスで互いの感情を昂める。
完全に全裸になった二人は、互いのカラダを弄った。
全体的に瑞々しさが失われた感のある望未のカラダだったが、豊川は懐かしさと同時に、何とも言えない安堵感を憶えた。
離婚後、ビジネスSEXをした相手には到底沸くことの無い感情。愛情があったはずの奈津美や真樹子にもこんな感情を持つことは無かった。
望未も豊川と同じ感情を抱いていた。愛情とか欲望とは違った不思議な感覚。『安堵感』。この一言がしっくりくる。
和真に抱かれる高揚感とは全然違う。平凡なSEXだったけれど、連れ添った年月分しっかと互いのカラダに刻み込まれているんだなと思った。
豊川の手が、望未のオマンコに伸びる。
恥毛の丘をゆっくりと撫でてから、まずはビキニラインに沿って中指を這わす。
「ふぅぅん、はぁぁぁぁんんっっ」
一番敏感な部分にタッチしなくても、望未の反応は良好この上ない。ビキニラインもすでにじっとりと汗ばんでいて、汗とは違う湿り気も十分感じ取ることが出来る。
豊川は焦らすように女性器本体への愛撫は避け、太腿やお尻を重点的に撫でた。
お尻の割れ目付近最上部辺りをそっと撫でた時、「あぁぁぁっ」と甲高い声と共に、望未の全身に鳥肌が立ったのが確認できた。
望未は豊川にしがみつき、硬く沿ったチンポを握りしめ、素早くしごき上げた。
裸で抱き合い、互いの性器を弄り合う。『欲望』という言葉だけでは治めきれない、夫婦として積み上げてきた形容し難い『何か』が二人の中で共鳴し合っているかのようだった。
何とも言えない安心感が、数年来の空白期間を一気に埋めた。