底のない沼-1
「ああっ……はあっ」
じんわり染み出すような、緩い快感。陰部を弄る指がふやけてくる。
ーーもう、どれくらい耽っているだろう。
上りつめそうでつめない、絶妙なさじ加減で相馬友美(そうまともみ)は部屋のベッドで横たわっていた。
時計を見なくても時間は大体わかる。
厚手のグリーンのカーテンは遮光を謳っているけれど、朝日の光が強いのか、ぼんやり部屋の中は明るくて。
階下では、母が弁当を作るためにフライパンで卵を焼く音が微かに聞こえてくる。
小鳥のさえずりも爽やかだ。
そう、今は朝。それも、きっと天気はすこぶる快晴だろう。
洗濯物が外に干せるわ、なんて母はきっと喜んでいるのかもしれない、そう思いながらも友美は、
「あっ……、ん……、ああん」
清々しい秋の朝の中で、オナニーに耽っているのだった。
パジャマも全て脱いで、裸の状態で横たわる友美は、ゆっくり指を秘所に埋めたり、そっとクリトリスをなぞったり。
溢れる愛液を絡めながらヴァギナを刺激する行為は、手慣れたものであった。
「あんっ……ああっ、あっ!」
自分の口から出る淫らな声ですら、自らを昂ぶらせる極上のスパイス。
空いた左手は、まだまだ発達途上の小さな乳房を優しく揉みしだいていた。
その穏やかな快感に一頻り浸っていた友美は、チラリと壁に掛けられた時計に目を移す。
もうすぐ7時か。
間も無く朝食の時間になると気付くや否や、絶頂を目指す準備を始めた。
それまで優しくヴァギナに触れていた手を、やや激しく動かすと、
「んあっ、あっ、ああっ!!」
少しだけ、声が大きくなった。
ひとたびエクスタシーを目指そうとすると、勝手に声が大きくなるのだ。
それだけじゃない。
誰かに見せているかのように、大きく開いていた両脚が閉じられる。
そして、それをピンと伸ばす。
それが友美がいつも絶頂に達する時のスタイルなのである。
脚がつりそうになるくらいピンと張って、あとは愛液をたっぷり絡ませた指で、陰核を激しく擦る。
すると、さっきまでの優しい愛撫から一転、荒々しい刺激に彼女の小さな口が勝手に開きだす。
「あっ、あっ、イク……!」
乳房を包む左手も、荒々しい動きになる。
まるで誰かに犯されているように。