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「秋男は死なない」
【純愛 恋愛小説】

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「秋男は死なない」-1

もう、いいっす。
もう、いいっす。

自分、今まで生きて何も良いことなかったし、21なのに彼女いたこともないし、世間のゴミって感じですかねえ。

自分で言うのもなんだけど生きがいとか感じたことがないし、僕みたいな人間、ホントいついなくなってもいいんですよ。



…………ホラね?


今僕が言ったことにそんなことない、お前は必要だって言ってくれる人もいないし。

僕いつ死んでもいいんすよ。


でもちょっと聞いてください。僕、恥ずかしながら好きな人はいるんです。

同じバイト先の美香ちゃんって子なんですけど、本当いい子なんです。僕にもみんなと同じように接してくれて、笑顔がかわいいんです。

なんて言うんですかね、彼女だけが僕の人生の希望の光ですね。

いや、冗談じゃないっす。まじっすよ、まじっすよ。

それなのに、彼女バイトをやめるんです。今月いっぱいでやめるんです。
あのときのショックと言ったら無かったっすねえ。美香ちゃんの顔を見るのが悲しくて悲しくて。

いつ散らせても良いこの命。


どうせなら好きな人に告白して散らせても悪くないんじゃないかって思ったんです。

そして、そんな自分自身がすごくかっこよく思えてきたんです。

ああ、突っ込まないでください。見かけ自分でもわかってるんです。デブでブサイクだって。

でも、僕が美香ちゃんに持っている気持ちは本物です。

女の子と話したことだって母親を除けば数えるほどのような気がします。だから告白なんてしたことないです。されたことなんてもちろん無いのは言わなくても分かりますよね。

つまり僕には失うものなんて何もないんです。


だから言えます。

美香ちゃんに。


ありのままの僕の思い。

伝えます。


告白してもムリかもしれないです。僕みたいにブサイクな男といたら隣で並んでいる美香ちゃんもおかしい子だって思われるでしょう。

ただこの思いを伝えたいんです。


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