15才-1
ある日の日曜日の夕方。
タクミとちづるは
ちづるの家で休日をのんびりと
過ごしていた。
2人はいつものように
ソファーに座っている。
ちづるは
テレビを見ているタクミの
横顔をじっと見つめる。
タクミは
テレビを見ながら
ちづるからの視線に気がつく。
「 ? なーに?」
「 んーー? うん。
、、、ちょっと
聞いてみたいなーって。」
「何を? 」
「タクミ君のー、、、
初体験。」
「 ぇ? 」
「こないだほら、
言ってたから、、。」
見ていたテレビがCMになり、
タクミがちづるを見て言う。
「こないだ? 」
「そう、、ほら。
外で、デートした時に、、。」
「 ぁーー、、、。」
「そう、そう。
、、、襲われた? 話 」
「、、、ふふっ
ぇーー? 聞いちゃう? それ」
「 ぁ 。
んーーっと
無理にとは、、」
「、 、、。」
「言いたくないなら、その、、
大丈夫。」
「 んーー、、、。
言いたくない訳じゃないんだけど。」
「 うん。 ? 」
「引くと思うよー? 俺の
、、、暗黒時代。」
「 、、。 ふふっ 」
ちづるは静かに笑い始めた。
タクミがそんなちづるに言う。
「や、笑うけどね?
ちづちゃん、
聞いたら引くと思うよ?マジで。」
「、、、。
ちょっと、、 」
「ん?」
「ワクワクしてきちゃったかも。」
「、、、。」
「あ、でも本当、言いたくないなら」
「高校入ってすぐ、、
だったかなぁ。
スーパーでバイト始めた俺に、
あるパートさんにこう、、
誘われてしまったのです。
『してみない?』 みたいな。
えぇ、、。
そんで、 」
「 っ!?
ちょっと、待って!
えっ?
それ 本当の話? 」
「 ん? うん。」
「、、っ 、
、、、。
そのトーンで思い出話を
最後までするの?」
「 、、駄目?」
「 っ 、、駄目。
うまく頭に入ってこないよ。」
「 、 、、ふふ」
「、、、でも、その話、 」
「ん?」
「凄いね、、。」
「 ぇーーー?
まだ凄い所まで
いってないんだけど。」
「そ っか。 うん、はい。
ドーゾ っ 」
「まーぁ、それで。
じゃあここは、
童貞捨てちゃおうかなーと。」
「 、、うん。」
「まぁ、、うん、でー、、
色々その人に
教えてもらった?
みたいな? 」
「 うん。」
「、、。なんか、懐かしー。
3年前なのにもっと昔に感じる。」
「、、そっ か。
タクミ君の15才って、、
3年 前 だよね。」
「、、、。
うわーー、若いっ。
って思ったでしょ?」
「、、、 はい。」
「ふふっ 本当、
若いよねー。」
テレビでは、笑点が始まった。
おなじみの音楽が流れ、
それをぼんやりと見ながら
タクミが言う。
「まぁ、、最初はちょっと
怖じけづいたんだけどね。」
「え?」
「誘われて、家に行って、、。
いざエッチするってなった時に
なんか俺、ビビっちゃってさぁ。」
「 ぇーー!? 嘘!」
「いや、マジで。」
「 タクミ君が?」
「 うん。」
「、 、 、、。」
ちづるが興味津々な目でタクミを見る。
テレビでは
赤いスーツと青いスーツを着た
若い男の2人がマジックを披露している。
タクミはマジックを目で追いながら
少し笑ってちづるに言う。
「ほんとさぁ、
ちづちゃんの中の俺って
どんだけ強いわけ?」
「ぇーー? だって、
想像つかないんだもん。」
「最初は誰でも怖じけづく気持ち
あるんじゃない? 」
「んーー、、 かなぁ。」
「未知の世界?っつーか。
鼻血ブーに
なっちゃいそーってゆーか、、
! ぁ 。 」
タクミがハッとして
ちづるを見ると、
ちづるの目が泳いでいる。
ちづるは自分の初体験で鼻血を
出してしまった事を思い出す。
「、 、っ 、、、。」
「や、あの。冗談っす。」
「、、、うん。」
「まぁー、あれだよ。
俺も人間なのでーー。」
「、、。 ふふっ 」
テレビのマジックを観ながら
タクミは昔の事を思い出す。
***