備品の日常-6
■視点 岡田香澄
あとはそれの繰り返し。男たちの肉棒を上で咥え、下でも咥え。それらが満足すると、また次の肉棒が待っている。一巡したかなと思うと、当番の人がまたやってきて、私を犯す。
それは勤務中だろうが昼休みだろうが関係ない。彼らが満足しないうちは、私はひたすらに犯されるだけの人形になるのだ。
それでも何もない時間というのもある。そういう時は会議の準備や、頼まれる細々とした雑務を行う。
下着が脱がされた後どうするかは、その日の当番によって変わる。新しいものを履き直すか、脱いだものをまた履き直すか、もしくは履かずに過ごすのか。
ショーツを回収するタイミングも当番によってマチマチで、濡らすたびに回収する人もいれば、帰宅の時に回収する人もいる。ちなみに、帰宅時に回収する人は、だいたいトイレでいつも拭かせてくれない。
黄ばんだショーツを嬉しそうに受け取ると、股間にあたる部分を裏返し、そこにある縦筋の黄ばみに気持ち悪い笑みを浮かべ、そしておもむろに匂いを嗅ぎ出すのだ。
ちなみに皆藤さんの場合、新しいものに履き直され、濡らすたびに、もしくはトイレが終わるたびに回収し、望む人にあげていた。
そうやって何本もの肉棒に蹂躙されつつ、恥辱にまみれながら一日が終わる。
基本的に残業のないこの会社は、ほぼ毎日定時に終わる。それは今日も同じで、六時を告げるチャイムで、ようやく私は解放される。
皆藤さんに言われショーツを脱ぐと、また別の誰かにあげていた。そして持ってきていた私物の下着を履き直す。もちろん更衣室などは使わせてもらえないので、みんなが見ている前でだ。
自分の下着をみんなの見ている前で履いているときが、実は意外と羞恥心を覚える。自分のプライベートな部分をさらけ出しているようで、恥ずかしい。
「相変わらず色気のないパンツ履いてるな、岡田は。」
声をかけてきたのは高畑さんという人。もうすぐ五十代というのに、その性欲は人一倍高い。そして何より、汚パンツ(おしっこなどのシミがついた汚れたパンツのことらしい。)が大好きという変態だ。
同僚はみんな嫌いだが、その中でもこの人は上位に位置する。
「明日は俺が当番だから、朝からおしっこしても拭いちゃダメだからな。あと、岡田がいつも休みの日とかに履いているパンツを履いてこいよ。できれば可愛いのがいいな。」
「っ……。わ、分かりました。」
俯き、床を見ながら、スカートの裾を握りしめる。自分の下着を身につけた状態での勤務は、考えるだけで心底嫌だ。先ほどと同じ理由で、プライベートまでもが犯されているような気持ちにさせられる。
「大丈夫、明日回収するパンツはまた今度ちゃんと返すからな。優しいだろ、俺。」
優しいもんか。何に使われたかも分からないショーツを返されても嬉しくなどない。おそらく、そのままゴミ箱行きだろう。
「じゃ、明日は頼むからな!」
高畑さんの手がお尻を下から上に撫でる。
「きゃっ!」
突然のことに小さく悲鳴をあげると、高畑さんはその反応に満足したのか、笑いながら帰って行った。
周りを見れば残っている人もまだいる。その人たちに、今みたいなセクハラを受ける前に会社を後にすることにする。
会社を出てしまえば、これ以上何かをされることはない。これはこの会社の絶対遵守のルール。私が壊れないようにという配慮なのかもしれない。
しかし、いつも思う。いっそ壊れてしまった方が楽になれるのでは、と。それでも踏み止まっていられるのは、家族がいるからだ。
さ、頭を切り替えよう。ここからは私の心安らぐ時間だ。帰ったら何をしよう。最近、お母さんは家事をさせてくれない。疲れているだろうからと気を使ってくれているのだ。
そんなことを考えながら私は帰路につくのだった。
これが私の今の日常だ。性欲を解消するための備品となった、男たちの肉棒を咥え込む肉壷を提供する肉便器としての日常なのだ。