世界と二人〜世界の右側〜-1
二つの命が一つの世界に投げられた。
あっちの世界の空気より、すごくキレイで暖かい。
二つの命は男と女、あっちの世界で知り合った。
男は女を愛してた。
こっちの世界に来た今も。
だけど世界は広かった、二人の世界の何倍も。
あの子は左に俺は右に。
「お前がいなくて清々するよ」
俺は素直じゃなかったし、世界はあの子と俺の二人だけの物だと思ってた。
またすぐに会えると思ってた。
あの子と別れて何日過ぎただろう。
二人が当たり前だったあの世界。
暗くて、寒いあの世界、だけど二人のあの世界。
やっぱり男は愛してた。
俺がもっと素直で、君と同じ道を歩いていたら。
どんなに幸せだっただろう。
ドンナニシアワセダッタダロウ。
透明色のキレイな岩の曲がり角、男はその短い生涯を終えようとしていた。
今度生まれて来る時は、もっと素直に生まれたい。
そしてあなたにこう言いたい。
俺はお前を愛している、と。