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バレーボール部物語
【学園物 官能小説】

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編入生挨拶-6

 最後に、監督の高潔さを痛感した思い出を話そうと思います。 県大会をノーセットロスで優勝し、他県での関西大会に出場した日のことでした。 他県ですから、監督が運転してくださるバスを使った1泊2日の遠征になります。 学校で練習を終えてから出発したため、宿舎についたのは20時を過ぎていました。 ミーティングをして、今日は早く寝て明日に備えるということになり、私も自分の部屋へ戻って寝る準備をしていると、誰かが部屋をノックしています。 ドアを開けると神妙な顔をした部長が立っていました。 部長がいうには『監督の添い寝係をしなさい』ということで、最初何をいっているのか分からなかったですが、詳しく聞くと『遠征時は部員が一名監督と同衾し、運転で疲れた監督を朝に起こす』決まりがあるそうです。 聴いた時には驚きました。 部長からは『みんなやっているし、全員1度は経験する。 監督のためにお布団を温めてきなさい。 特に何かされるわけじゃないから』と言われましたが、そんなの信じられません。 というか、成人した男の人と一緒に寝るなんて、いくら尊敬する監督といっても、私には考えられませんでした。 私にとって男の人と同じ布団に入るというのは、特別な行為を伴うものだったんです。
 何度も断りましたが、部長は許してくれませんでした。 最後には泣き顔で『おねがいだから引き受けて。 じゃないと監督に怒られる』といわれ、もうどうしようもありません。 私は添い寝するべく、部長に言われるがまま荷物を纏めて監督の部屋へ行きました。 オズオズとドアをノックした私に、監督は想像と全然違ったあっけらかんとした声で『おう、きたか。 明日の朝は頼んだぞ。 もう遅いから先に寝てろ。 風呂に入ってくる』というと、1人でシャワー室に消えます。 私は寝間着用のジャージの裾を押さえながら、ギュッと目を瞑って和室の布団に潜りこみました。 もうどうすることもできません。 私は『先に寝てろ』と言われたのを利用して、寝たふりをすることに決めました。 しばらくして電気が消え、隣に人の気配がして、監督が部屋にやってきました。 しばらく静かな寝息を立てていると、そのまま布団を捲って私の隣にスルリと入ります。 お風呂に入りたての、ホカホカした体温でした。 そのままギュッとお股を閉じ、私は懸命に寝ているフリを続けました。 何故だか分かりませんが、その時はそうするしかないように思ったんです。 けれど監督はそんな私の強張りを知ってか知らずか、すぐに心地よさそうな寝息でお休みになられていました。 布団を動かさないように監督側へ寝返りをうち、薄目をあけた私がみたのは、監督の和やかなお顔でした。 私の身体に指一本触れることなく、何の邪念もなしに、ただ運転で疲れたご自分を回復させるためにお休みになっていたんです。 邪なのは、真逆でした。 私自身が監督を心の何処かで信頼できず、邪な想像を逞しくしてしまっていたことが、その時初めて分かりました。 全裸で謝罪した時よりも、汚れた下着を見られたときよりも、あの時が一番恥ずかしかったです。 人を信用できない人間が、誰かに信用されるはずがありません。 監督の気持ちを忖度した不遜を弁え、その日以来、私は監督の指示に決して疑問を挟むまいと誓いました。

 そのお蔭か、監督のご指示のたまものか、私はバレーボールプレーヤーとしてめきめき成長することが出来ました。 インハイを2年、3年次に連覇し、総体でも3年次に全国優勝出来ました。 現在の私が、このように専門学校への編入試験に合格でき、栄えある学園を経験された皆さまに混じって進学の機会を与えていただけたことは、偏(ひとえ)に小笠原先生の薫陶にまつべきと思っています。 改めて先生へ感謝すると共に、みなさんに追いてゆかれないよう精一杯努力する所存です。 今後とも宜しくお願いいたします。


 第11専門学校 スポーツ養成部  第18期生    
 
 編入生徒代表 清水エリカ 改め CQ1134番



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