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タブレット
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タブレット-2

午後十二時三十四分
体中を小さな何かが這いずり回る
ヤメテヤメテヤメテヤメテあちこち引っ掻いた
爪の中に少しだけ肉が挟まってた
指は真っ赤

午後一時
私は表に駆け出した
道路で地面をせっせと掻き分ける
お隣さんに会った
顔をあげて挨拶したらひっと声を出して走り去った
失礼な人

午後一時五分
探しても探しても見つからない
見上げればうちの窓
落ちてもここにあるはずなのに

午後一時十五分
わたしは気付いた あの人だ わたしの顔を見て逃げたあの人
わたしより先に見つけてあの人が持ってるんだ!

午後二時
いったん部屋に戻ってから身体のダルさで今まで横になってた
凄く疲れた
早く返してもらわないと
早くはやくハヤクハヤクハヤク

午後二時十分
気怠い中 とりあえず隣に電話した。
『人のもの 勝手にパクらないでください』
まるで相手にされなかった。

午後二時三十分
お隣さんは今だに返しに来ない。頭にきて取り返しに行った。
玄関に体当たりして大声で叫んだ 『かえしてーかえしてーかーえーせー』
バンバン扉を叩いたら『警察呼びますよ!』と言われた
それはとてもまずいので部屋へ戻った
涎が垂れてた

午後二時四十分
まずいまずいまずいまずい視線を感じる
殺気を感じる
誰?警察?お隣さん?
あたしどーなっちゃうの?大事にしたくなかっただけなのに
恐い恐い恐い恐い誰か助けて

午後三時三十分
考えた ない頭使っていっぱい考えた
やっぱり一人じゃ抜けられない
とりあえず今の症状を治めるためにあと一回だけ
そしたら病院へ行こう
そのためには… 隣へ

午後四時
あたしは気付いた お隣りさん… 隣人… 隣…
そう あたしの大事な袋を奪ったのはお隣さん
と言うことは ベランダが繋がってるじゃない
ベランダから侵入しよう


午後四時二十七分
どーしてこうなったんだろう。
あたし 確かに悩んでた
魔がさした?
そう 魔がさした
声かけられて 脱法だからって言われて
一回だけって思ったのに 一回が二回になり 二回が三回になっていった
誰にも言えなかった
悩み事が増えた
回数も比例した
でもいい加減寝たかった
だから一人でやめようと思ったんだ
思ったのに――――――

あたし… もうやり直せないんだ…


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