お姉ちゃんの絞り汁-7
「健太郎……」
虚ろな表情で弟の名を呼ぶ宇佐美。ふと見ると、無言で立つ弟の手には家庭用のビデオカメラがあった。父親が最近購入したもので、例のビデオテープを撮ったものよりも小型で、性能も良い。
「お姉ちゃん、僕たちのビデオを撮ろうよ」
健太郎はビデオカメラを見つめる姉に向かってレンズを向けると、感情のない声で告げた。
その声に対して宇佐美は無言であったが、健太郎は気にせずにカメラを回す。ソファーに座った姿を撮し、放心している顔に近づき、カメラは呼吸と共に上下する胸元から段々と下がり、膝元まで降りていく。しかし、宇佐美はそうした健太郎の行為に拒絶もせず、人形のように端正で、冷たい表情を向けるだけであった。
「どうしてあのビデオを最後まで見たの?」
健太郎が問い掛ける。
しかし、宇佐美に明確な答えがあるわけではなかった。ただ、最初は好奇心で見ていて、次第に没頭し、いつしかビデオの中の少女と自分とが混同され、気が付くとテープが終わっていたのだ。淫らな感情があったことは否定できないが、それ以上に、テープの中の自分とそれを見ている自分のどちらが現実のものなのか分からなくなり、夢現の状態で今も続いている。
だから弟が淫らな目的でビデオカメラを持ち出しても拒絶せず、霞のかかったような頭で漠然と事態を見ているのだ。あたかもテレビに映し出された自分を見ているのかのように。
「シャツを開くよ」
健太郎はそう言って姉の胸元に手を伸ばした。どうして姉が拒絶しないのかまるで分からなかったが、健太郎はもはや行けるところまで行くつもりであった。震える手でボタンを一つ一つ外し、姉のシャツを徐々に開いていく。
そして、ボタンの一つ一つが外されていくと同時に、宇佐美の頭の霞も次第に晴れていったのだが、それと同時に奇妙な高揚感と身体の芯に言い知れぬ疼きを感じ始めていた。
そして、完全にシャツの前がはだけられ、淡く黄色いブラが姿を現すと、混濁した宇佐美の脳裏にある思いがよぎった。宇佐美のシャツをはだけさせているのは男の手。宇佐美の肌を見つめているのは……男の目。
そんな宇佐美の感慨を余所に、健太郎は姉に胸元に見入ってしまっていた。間近で見る宇佐美の胸は思ったよりも更に量感に溢れ、精緻な刺繍を施されたブラジャーにはみっちりと中身が詰まっている。今にも溢れ出しそうな乳房に健太郎は興奮し、生唾を飲み込むと、今度はブラの肩紐に手をかけた。
健太郎は確認するように姉の顔覗き込んだが、宇佐美は頬を赤らめて視線を逸らしただけだった。手に力がこもり、健太郎は勢い良くブラジャーを押し下げたすると、中から静脈が透けるほどの白い乳房がこぼれだし、健太郎は息を呑んだ。
宇佐美の身体の振るえと共に、ゆらゆらと揺れる乳房。それは男の劣情をかき立てるもので、健太郎は片方の乳房に手を伸ばすと、そっと下から持ち上げてみた。
姉の乳房は液体の詰まった風船のように柔らかであったが、肌の感触は滑らかで、指先に吸い付いてくるようであった。