で-1
そんな泣きじゃくる私を見て
「今度から俺に電話しろ」
先輩は小さい声で言った。
「おまけに俺は桃花の家を知らなかったから
絵里ちゃんに着いて来てもらわなきゃならなかった」
ああ・・・だから絵里もいたのか。
「これが、彼氏としてどれだけ悔しいことかわかる?」
まったく。俺何やってんだよ。
前髪をかき上げながら、私に聞こえないぐらいの小さい小さい声で、そう呟く。
こんな時なのに、熱のある私は反省よりも何よりも
先輩自分で『彼氏』って言ってくれた・・・そんな事を思ってしまった。
「あの・・・先輩?」
「何?」
「別れ話のほうは・・・?」
話がなんだかずれているようなので軌道修正をしようと
そんな言葉を言ってみると
さらににらんだ先輩が
「別れたいのか?」
じっと睨んでそう聞いた。
「私は、別れたくないですぅぅ〜」
熱があるけど、この気持ちははっきりしてる。
「だったら、俺が別れると言い出すまで黙ってろ。
お前別れる時は綺麗に別れるって言ってなかったか?
全然綺麗じゃねぇな」
そう言って「鼻をかめ!」とまたティッシュを差し出した。