で-6
先輩はその翌々日―――熱を出した。
「お前、絶対許さないからな!」
言葉は乱暴なのに、高熱だからか迫力はない。
私はクスクス笑って
「何がですかぁ〜?」
すっかり治った私は上機嫌だ。
「いろいろだよ!いろいろ!
でも1番は俺に風邪を移したことだ!」
「だって〜。先輩ったら、キスばっかりするからぁ〜」
「お前がキスしてくれなきゃ薬が飲めないとか
わがまま言ったんだろうが!」
ゴホッとせき込んだ先輩は明らかに私よりひどい風邪だ。
少しだけ気の毒になって、優しくしてあげようと思った。
「で?なんなんだ?それは?」
「それって?」
わざとらしく聞き返せば
「その服だよ・・・」
ペロッとスカートをめくって下着を見ようとした。
「やめてくださいよ!ナースコスですよ!ナースコス!」
「はぁ?ゴホッ」
私はナースのコスプレをして看病していた。
「先輩コスプレ好きでしょ?ナースですよ。看病ですから!」
「・・・どこで手に入れた?」
「先輩が熱を出していると言ったら、白木先輩がお見舞いにくれました」
「白木か・・・」
「どうです?萌えますか?」
「・・・・」
先輩は小さくため息をついて目を閉じた。