と-6
熱で顔を赤くしている私を見て、ため息をついた。
「だから、俺の電話に出なかったのか?」
「熱が下がったらちゃんと連絡しようと思ってました」
「だから!そこじゃないって!」
ほんの少し声を荒げた先輩にびっくりするとまた涙が出てきた。
「悪い」
と、ばつが悪そうに誤った。
「俺は純粋に、連絡の取れない桃花を心配してたんだ。
その不在通知の着信時間を見ればわかるだろ」
確かに着信時間は2〜3時間おきにコンスタントに表示されていて。
「あの電話を気にして電源を切っているのかと思ったんだ」
それも多少はあります。
「それなのに、数時間前に絵里ちゃんが学校を急いで出るところを捕まえて聞いてみれば
桃花が熱を出して今から買い物して行くっていうから」
少しイラついたように前髪をかき上げた。
「熱を出しているのを俺は知らないのにって絵里ちゃんにやきもちを妬いた」
「だって先輩の電話番号知らないから・・・」
ズビッと泣きながら鼻をすすった。
そんな私を見て苦笑いしながらティッシュを差し出す。
「俺の電話番号を知っていたら俺に電話したか?」
「・・・しないと思います」
「なんでだよっ!」
「先輩に迷惑かけられません〜。
ただでさえ危うい関係なのに〜・・・」
私はそう言ってまた泣き崩れた。