Girl Meets Devil 〜そのW〜-1
悪魔との生活も早一ヵ月。
何とか騒ぎを起こすことなく、普通の生活を送っている。
まあ、絡んできた三年の不良グループ(5人)を叩きのめし、全員半殺しにしたこともあったが、何とか公にはならずに済んだ。
ありがとうございました、葛城先輩!
でも自分からは騒ぎを起こしていない。
悔しいけど、成績も優秀だから学校側も何にも言わない。
だから案外、普通の日々が続いている。
そしてまた一日が始まる……
「おはよぅ………アレ?」
珍しくキッチンから返事が来ない。
今日の当番は私なのだが、この一ヵ月、恭夜は絶対私より遅く起きてくることはなかった。
「珍しいなぁ…アイツが寝坊なんて。やっぱり悪魔でも寝坊するんだ…」
何か今まで完璧だったアイツが寝坊すると分かると何だか変な親近感が湧いて来るなぁ……
よし!私が起こしてやろう!
「恭夜!朝だよ〜!珍しいね、アンタが寝坊するなんて……ってどうしたの?大丈夫?」
恭夜の顔色は青白く、見るからに調子が悪そうだ。
「…茜か……何、大丈夫だ……身体がだるくて、頭がガンガンするが何とかなるだろう………」
「ち、ちょっと…大丈夫そうには見えないから……もしかして…風邪?」
「……何だ…それは?」
「えっ?風邪引いたことないの?」
「ああ…こんな状態は初めてだな……くそっ……悪魔王ともあろう俺が情けない……」
多分…恭夜の故郷‐魔界かな?‐には病原菌というものがないのだろう……
「う〜ん…人間なら薬飲んで、2・3日休めば治るんだけど…悪魔だしなぁ……薬も何が効くのか分かんないし、病院にも行けないし…どうしよう…」
「…大丈夫だ…俺は何とかなるから……お前は学校に行け……な!」
そう言って笑うが、恭夜の笑顔はやはり弱々しい。
「ううん。何か心配だから今日は看病してあげるよ!」
こういうのを母性本能というのだろうか?
「…お前がか?…何か逆に心配になってきた……」
くっ…コイツは弱っていても偉そうだし、減らず口だ!
「五月蠅い!とにかく、大人しく寝てな!いい?」
「……仕方ない…頼むから殺さないでくれ…」
「そう言ってるとマジで殺るかもよ?」
「…承知した…大人しくしていよう……」
ったく、この悪魔は……
でも…悪魔の病気なんて聞いたことないし、もしかしたら酷い病気なのかも…
…とりあえず、葛城先輩に電話して相談してみようか……