の-5
先輩の部屋に帰った途端にキスをされる。
優しく首筋に伸びた指先が
絆創膏をなでる。
「悪かった」
それはキスマークの事なのか
それとも皆に騒がれた事なのか。
良く分からないままにキスの気持ち良さにガクンと膝が折れた。
そんな私に苦笑いして。
「そこで待ってろ」
と、座りこんだ私の目の前で布団のシーツを引きはがした。
そして今さっき買って来たシーツを敷布団にかける。
その行動に、はっと気がついて
「わ、私、昨日シーツ汚しましたか?」
恥ずかしくなって真っ赤になってそう言えば斎藤先輩は
「ん?」
と振り向いて私の前にしゃがみこんで顔を覗き込む。
「いや。このシーツ・・・イヤだろ」
優しく笑いながら私の髪をクシャッとなでる。
え・・・
もしかして、元カノも使ったから、って・・・コト?
何もかも初めての体験で、そんなところまで頭が回らなかった。
でも、確かに落ち着いた後に、イヤだと言うか複雑な気持ちになるかもしれない。
小さくうなづいた私に
やっぱり優しく笑いかけると
タンスからも2枚シーツを取り出して
今はがした奴と一緒にビニール袋に入れた。
「それ、どうするんですか?」