の-4
「桃花。行くぞ」
「ど、どこにですか?」
「買い物。約束してただろ?」
声に出さない目力で「命令」そう告げると
私の手をとって部屋を出た。
部屋を出ると、皆のビックリしたように噂をする声が
廊下まで響いてきて
「気にすんな」
モヤモヤする私の手をひっぱった。
もしかしたら、あの場所から助け出してくれたのかもしれない。
だって、買い物の約束なんかしてないもん。
少しだけ電車に乗って着いた先は
大きなショッピングセンターで。
先輩はいくつか買い物をした後に
雑貨売り場でアロマキャンドルを手に取った。
それは昨日の仏壇用の白いろうそくとは正反対で
色々な匂いの丸い可愛い容器に入っている。
少しだけ匂いを比べた先輩は
迷わず同じ種類のキャンドルを2つ買った。
もしかして、昨日大笑いしていたくせに
キャンドルを買いに来たの?
思いもしなかった先輩の行動に嬉しくなった。